starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

東北の荷物、3割運べない? 物流「2024年問題」で影響予測


 トラック運転手の残業規制強化で人手不足が予想される「2024年問題」について運送業界関係者が意見交換する研修会が23日、秋田市内で開かれた。今後の東北地方での影響をまとめた野村総合研究所は「ドライバーの将来の需要と供給の割合を見ると、ドライバー不足で2025年には32%、2030年には41%の荷物が運べなくなる」との予測を示した。対応策として同業他社や異業種による共同輸配送などによる一層の効率化が必要だとした。

7年後はさらに深刻化

 労働基準法の改正に伴い、トラック運転手の残業上限時間が24年4月から年960時間に規制されることで、運転できるドライバーが足りずに物流が滞る「2024年問題」が深刻になると予想されている。

 見通しによると、東北各県では2年後の2025年には秋田県で35%、青森県で33%、岩手、山形、福島各県で31%、宮城県で28%の荷物が運べなくなるとし、さらに7年後の2030年には秋田県で46%、青森県で44%、山形、福島各県で41%、岩手県で40%、宮城県で37%に増えていくとした。現在の物流ネットワークを維持しようとすると、料金割り増しや運送頻度の低下が生じる恐れがあるとしている。

 秋田県は高速道路の整備が不十分で片側1車線の区間が多く、東京に農産物や工業製品をトラックで輸送する場合、特に長時間を要する。秋田県トラック協会によると、秋田市内から東京・豊洲市場に荷物を輸送する場合、横手市や岩手県北上市経由(約620キロ)では約8時間を要し、高速料金は1万5630円(深夜割引適用)かかる。一部で一般道を併用する山形県経由(約610キロ)では約8時間半、1万700円(同)かかるとされ、ドライバーの心身の負担は大きい。

 野村総研によると、こうした現状の中、人口密度の大きい都市での配送を優先的に維持すると、秋田県の場合、2030年には全25市町村のうち秋田市や横手市、能代市などを除く約8割の自治体でサービスの質が低下する可能性があり、人口密度が小さく輸送効率が低い山間部の地域では離島扱いになる可能性もあると見通している。

解決のカギは

 このため野村総研は「積み合わせを工夫し、より少ないトラックで多くの荷物を運ぶ共同輸配送の必要性が高まっている」と指摘。業界で共同配送を広げていくことで、東北地方の不足の割合を秋田県で22%、青森県で19%、山形、福島各県で15%、岩手県で14%、宮城県で8%にまで減らせると予測した。共同輸配送実現のためには、業界として適切なパートナーを見つけることや、自社の物流実態を可視化することが必要だという。

 一方、秋田県トラック協会は会員事業者363社に4月に実施した調査結果を公表。ドライバーの雇用について回答者の59・9%が「不足している」と訴えた。また荷物の運送を依頼する荷主との交渉では「運賃の値上げが必要」と考える業者が8割に上ったことを明らかにした。【工藤哲】

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.