ロシア軍事会社ワグネル、西アフリカ・マリ経由で武器調達計画か

　米国務省のミラー報道官は22日の記者会見で、ウクライナ侵攻に参加するロシアの民間軍事会社「ワグネル」が西アフリカのマリを経由して海外から武器弾薬を入手しようとしていると明らかにした。米政府は、ワグネルが入手経路を不透明にして制裁をかいくぐろうとしているとみて警戒を強めている。

　ミラー氏は「ワグネルが取引に関する文書を偽造し、マリ経由で武器弾薬を手に入れようとしているとの情報がある」と説明した。一方で、実際に武器弾薬の入手に至ったとの情報は「まだ確認できていない」と語った。米政府はワグネルと取引する個人・団体に幅広く制裁を科しており、ミラー氏は「状況を注視する」と強調した。

　ワグネルはウクライナ東部ドネツク州の最激戦地バフムトの戦いでロシア側の主力となって従事。創設者のプリゴジン氏は5月上旬、ロシア政府による武器弾薬の供給不足を公言して非難していた。昨年11月には北朝鮮から兵器を調達したとみられている。

　ワグネルは中東やアフリカ諸国でもロシアの利益に沿う形で軍事活動を展開している。マリでは2021年以降、暫定政権が治安対策としてワグネルと関係を深めたとみられている。【ワシントン鈴木一生】