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高齢者100円バス対象年齢 引き上げか維持か 堺市長選で論戦


 21日告示の堺市長選で、65歳以上の市民が路面電車や路線バスを1回100円で利用できる「おでかけ応援制度」が論戦のテーマに浮上している。再選を目指す大阪維新の会の現職、永藤英機氏(46)が2度、対象年齢の引き上げを図ったが市議会が否決。「同じ案で3度目の提出はない」とする一方、無所属で立候補を予定する新人の野村友昭氏(49)は制度充実を訴える。新型コロナウイルス禍で高齢者のフレイル(虚弱)対策が課題になる中、論戦は深まるのか。

 おでかけ応援制度は高齢者の外出支援や公共交通の利用促進を目的に、2004年度に導入。その後、制度拡充が進み、現在は市から交付されるICカードを持っていれば一年中利用できる。21年度末時点で対象となる65歳以上の市民のカード保有率は70%超。19年度は年間延べ618万人が利用し、コロナ下の21年度も468万人に上った。

 全7区のうち最も保有率が高いのは南区で80・4%。同区の65歳以上の高齢化率は23年4月末で35・1%と市平均(28・3%)を上回る。鉄道から離れた丘陵地にも住宅地が広がるエリアだ。区内に住む91歳の女性は「ここら辺は遠出しないと病院にもスーパーにも行けない。車が運転できない人はバスがないと生活が立ち行かない」とつぶやく。

 制度縮小議論のきっかけは21年2月の市の「財政危機宣言」だった。おでかけ応援制度では、市が交通機関に支払う負担金が年間5億円に上る。市は10年かけて対象年齢を70歳以上に引き上げれば、最終的に年間約1億1200万円を削減できるとして同年11月に市議会に改正案を提案したが、否決。22年2月に低所得者層を除外して提案したが再び否決された。

 市は対象年齢を70歳以上に引き上げる理由を「高齢者の体力は若返り、就業率を見ても現在の65~69歳は制度開始時の60~64歳と同水準の社会参画を果たしている」と説明する。一方、市議会では大阪維新の会以外の会派が「高齢者の外出機会や経済波及効果の創出」を理由に反対した。

 市長選は永藤氏と野村氏の一騎打ちが見込まれているが、16日に市内であった立候補予定者の公開討論会でも、この制度を巡る論戦が展開された。野村氏が「(前回選の)公約では制度拡大を掲げたのになぜ縮小しようとしたのか」と迫ると、永藤氏は「もっと望ましい税金の使い道があるのでは、と事業を見直した。健康寿命は延びており、65歳以上でひとくくりにすべきではない」と反論。その上で「2度否決されているので、3度目の提出はない」とも付け加えた。

 大阪市でも無料だった「敬老パス」に利用者負担が導入されるなど、行革で見直し対象に上がることも多い高齢者支援施策。コロナ禍で家に閉じこもりがちになった高齢者のフレイルが問題化した中、論戦の行方が注目される。【藤河匠】

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