韓国の最高裁(大法院)が日本企業に賠償の支払いを命じた元徴用工訴訟を巡り、原告側の弁護士は、韓国の財団が賠償を肩代わりするという韓国政府の解決策を受け入れた原告の遺族4人が、被告企業の株式の差し押さえ・売却を求める申請を取り下げたと明らかにした。日本企業の韓国での資産を売却する「現金化」が一部回避されたことになる。
弁護士によると、遺族4人は5月上旬までに、売却命令に対して被告の日本製鉄(旧新日鉄住金)が行った再抗告を審理している最高裁と、差し押さえに対する同社の抗告を審理し、それを退けた大邱地裁に申請の取り下げ書を提出した。
元徴用工訴訟を巡っては、韓国最高裁が2018年に、韓国人の元徴用工らへ賠償するよう日本企業に命じた判決を確定させた。日本側は「1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場であるため賠償には応じず、原告らは日本製鉄の資産の差し押さえと売却命令を申請。裁判所が差し押さえと売却を認める決定を出していた。【日下部元美】