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高額請求のロードサービス横行 ネット広告で格安うたい後から上乗せ


 車の故障時にドライバーがインターネットの検索サイトでロードサービス業者を探し、広告欄に出ている業者にサービスを依頼した際、支払時に高額な請求をされる事例が全国で相次いでいる。ネット上では格安をうたいながら、出張サービス後にさまざまな名目で代金が上乗せされるものだ。ドライバーの不安な心理につけ込む手口だが、こうした商法そのものの違法性を問うのは現状、容易ではない。専門家は、取り締まりを可能にする法改正やネット広告の規制強化の必要性を指摘する。

 30代の女性は2022年11月、北九州市八幡西区の路上でブレーキの不具合を感じ、車を止めた。すぐにロードサービスを頼もうとインターネットで業者を探したところ、検索結果の画面に出た「基本料金3980円~」とうたう広告サイトを見つけ、電話でレッカー移動を依頼した。

 業者が来てレッカー作業をしたが、終了後に請求書を渡された女性は驚いた。

 基本料金に加え「緊急対応費」1万9600円▽「レッカー出動費」4万8000円▽「車両積み込み、降し」1万7000円▽「人員増員1名」1万5000円――などが追加され、代金は計14万5000円。「おかしい」と思ったが、その場で支払いを求められ、従わざるを得なかった。

 その後、契約している損害保険会社に連絡して費用は補償されたが、女性は納得がいかなかったという。

 損保の担当者は「レッカー作業は日本自動車連盟(JAF)に頼めば1万~2万円ほどで済むので、明らかに高額。だが一度、お金を支払うと取り戻すのは難しい」と話す。

 毎日新聞が女性の請求書に記載されている業者の「代表者」に電話し、経緯を確認したところ、応答した人物は「名前を貸しているだけで答えられない」と回答した。

 損保関係者によると、バッテリー上がりやパンクなどでドライバーがロードサービス業者を呼び、高額請求される事例は21年秋ごろから首都圏で確認され、その後、全国に拡大。多くはネット上で格安代金を強調し、さまざまな名目で課金する手口だ。

 被害は全国で少なくとも3300件近くが確認されているといい、請求額は保険会社の補償の上限である15万円前後を要求するケースが多い。中には、千葉で99万円、中部地方では160万円を請求されたケースもあったという。

 23年3月には名古屋市のロードサービス業者の男性が、女子大学生の車のバッテリー交換をした際に書面で「(契約を無条件で解除できる)クーリングオフはしません」と書かせたとして、愛知県警に特定商取引法違反容疑で逮捕された。男性は大学生に、10万4500円を支払わせていた。

 同様の苦情は、国民生活センターにも複数寄せられているという。担当者は「作業前に金額を確認することが大切。高額請求されても、金額に納得がいかなければその場で支払いを断るなど、冷静に対応することが求められる」と注意を呼びかける。

 消費者問題に詳しい波多江愛子弁護士(福岡県弁護士会)によると、これらの請求は「訪問販売」としてクーリングオフできる可能性もあるという。波多江氏は「基本料金として示した額と実際の請求額がかけ離れ、サービスの対価として著しく高価な場合は、公序良俗違反に当たる可能性もある。こうした事案が続くのであれば、消費者保護の観点から取り締まりの強化や法改正が必要だ」と指摘する。

検索連動型の「リスティング広告」使用か

 高額請求のトラブルが多いロードサービス業者に共通しているのが、インターネットの検索サイトの「リスティング広告(検索連動型広告)」を用い、自社の広告を検索結果の画面に表示させている点だ。

 リスティング広告は、検索サイトでユーザーが書き込んだ検索ワードに連動し、関連する広告として表示される仕組みだ。ユーザーの関心がある分野の広告を提供できるため、効果が高いとされている。

 大手広告代理店「電通」などの2021年調査では、ネット広告(2兆1571億円)の4割近くをリスティング広告が占める。画面には「スポンサー」などと表示され、検索結果とは区別されているが、ユーザーが混同する可能性もある。

 検索大手のヤフー・ジャパンは、広告掲載基準に照らして重大・悪質な違反と判断すれば「不正広告」として掲載を断ったり、契約解除したりするなど対応を強化している。

 ただ、損保関係者は「以前は水回りの修理などをする『暮らしのレスキューサービス』でリスティング広告を使ったトラブルが相次いだが、検索サイト事業者の規制が厳しくなったことや、より需要があるロードサービスに移ってきた業者がいる」と実情を語る。

 インターネット広告に詳しい聖学院大の西村洋一教授(社会心理学)は「広告の中には、悪意を持った業者がありうることを知識として持つことが重要だ。緊急事態で慌てている時は情報の吟味が十分になされにくいことがあるので、信頼できる他者に話をして落ち着いて対応を検討するのもいいだろう。広告を提供する側もサービスの信頼性を担保するため、対策が重要になる」と指摘する。【吉住遊】

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