東京都江戸川区の住宅で契約社員の山岸正文さん（当時63歳）が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された区立松江第五中学校の教諭、尾本幸祐容疑者（36）＝江東区大島8＝が数百万円の借金を抱えていたとみられることが、捜査関係者への取材で判明した。警視庁捜査1課は金品を盗む目的で住宅に侵入し、山岸さんと鉢合わせになって殺害した可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、尾本容疑者は外国為替証拠金取引（FX）への投資に失敗するなどして500万円前後の借金を抱えていたとみられ、金銭的に困っていたという。
また、現場付近の防犯カメラには事件前後の時間帯に、上下黒の服に手袋をはめ、顔を隠すようにフードをかぶりマスクをつけた男性が行き来する様子が映っており、捜査の過程で尾本容疑者が浮上した。尾本容疑者は「事件には関わっていません」と容疑を否認しているという。
山岸さんは80代の母親と2人暮らし。山岸さんは2月24日夕、自宅の玄関付近で首や顔を切られて死亡しているのが発見された。母親も左手首を切られ、けがをした。
捜査1課は尾本容疑者が窃盗目的で住宅に侵入し、仕事から帰宅した山岸さんを刃物で襲って逃走したとみており、自宅から押収した携帯電話を解析するなどし、裏付けを進める。【木原真希、岩崎歩、菅健吾】
