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センチュリー購入「違法でない」 山口県が逆転勝訴 住民訴訟控訴審


 山口県がトヨタの最高級車「センチュリー」を貴賓車として2090万円で購入したのは裁量権を逸脱した違法な公金の支出だとして、元県職員の松林俊治さん(76)が県を相手取り、村岡嗣政(つぐまさ)知事に購入費を請求するよう求めた住民訴訟の控訴審判決が10日、広島高裁(西井和徒裁判長)であった。高裁は、全額を知事に請求するよう県に命じた1審・山口地裁判決を取り消し、原告の訴えを退けた。判決は「購入は裁量権の範囲を逸脱、乱用したものとは評価できず、支出が違法であるとも言えない」とした。

 高裁判決によると、県は2019年当時、議長用と副議長用、皇族らが来県した際に使う貴賓車としてセンチュリーを計3台保有。これらを2台に削減するため、3台のうち2台を処分して新車のセンチュリー1台を20年8月に購入した。処分した2台のうち貴賓車用の1台は、県が定めた走行距離などの更新基準を満たしていなかった。

 訴訟では、センチュリー購入の妥当性などが争点となった。22年11月の山口地裁判決は「更新基準を満たさない車両を処分してまで新たに購入すべき目的や高い必要性があったとは言い難い」などとして、支出を違法と認定。知事の指揮監督上の過失を認め、知事が県に賠償するよう求めた。

 一方、高裁判決は、センチュリーの貴賓車としての使用は、品格や安全性などから「相応の合理性がある」としたうえで、更新基準を満たしていない車両を処分した県の判断は「走行距離約7万8000キロ、経過年数も約17年で、貴賓車としては不適当として処分したこと自体が不合理とは言えない」と指摘した。また、新車の購入も「2090万円は高額である感は否めないが、不当に高額なものだったとも認められない」とし、裁量権を逸脱するものではないと結論づけた。

 判決を受けて、村岡知事は「県の主張が認められた。今後も予算などの適切な執行に努める」とのコメントを発表した。一方、原告側代理人の内山新吾弁護士は「行政の裁量に歯止めをかける姿勢が見られない」と判決を批判。原告の松林さんは「到底納得できない」と最高裁に上告する考えを示した。

 判決について、上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)は「1審判決は、地方自治法に定められた『自治体は最少の経費で最大の効果を上げるべきだ』という点を重視したが、高裁は知事の裁量権を広く判断した」と分析。「判決が覆ったとはいえ、1審判決は各自治体に影響を与えており、訴訟には一定の意義があった」と語った。【福原英信】

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