塩野義、過去最高益 コロナ飲み薬「ゾコーバ」実用化で

　塩野義製薬が10日発表した2023年3月期連結決算の最終（当期）利益は、前期比62％増の1849億円で過去最高となった。22年11月に緊急承認された新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」200万人分を政府が1000億円で買い上げ、業績を押し上げた。

　一方、24年3月期業績予想の最終利益は、16・2％減の1550億円と見込んだ。新型コロナ関連の売り上げ収益は、国内外合わせて1050億円と前期とほぼ同等と予想したが、国内に限ってはインフルエンザ関連製品を含めて573億円（前期比44・7％減）と大幅減の見通しを示した。

　ゾコーバは今年3月から一般流通が始まった。ゾコーバを含む新型コロナの抗ウイルス薬について、政府は9月末までは患者負担が無料となる措置をとっていが、10月以降は自己負担が生じる可能性がある。

　手代木功会長兼社長は10日の記者会見で、患者の窓口負担が3割の場合、ゾコーバは1万5000円程度になるとして「下期はかなり使用は減るだろう」との見通しを説明。中国、韓国、台湾での実用化を急ぎ、国内での売り上げ減をカバーすることに期待を示した。【横田愛】