日本供与の旅客船をミャンマー国軍が軍事利用 国際約束違反

　外務省の小野日子報道官は26日の記者会見で、ミャンマー国軍と少数民族武装勢力による激しい戦闘が起きた同国ラカイン州で2022年秋、日本が供与した旅客船が国軍兵士の移動や武器輸送に使われたと発表した。日本側が不適正な使用だと抗議したのに対し、ミャンマー側は「遺憾の意」を表明し、再発防止策を徹底すると回答したという。

　兵士の移動などに使われたのは日本が17～19年、地域住民の交通の利便性向上のため無償資金協力で供与した旅客船3隻のうち2隻。軍事利用された疑いがあると22年9月に現地で報じられたため、日本外務省が在ミャンマー大使館を通じて国軍に事実関係を問い合わせていた。

　日本外務省によると、供与した物品の不適正使用は国際約束違反となるが、今回の案件では罰則は設けられていないという。日本は21年2月のクーデター以降、ミャンマーに対する新規の政府開発援助（ODA）は停止しているが、小野氏は「国際機関やNGOなどを経由した人道支援は積極的に行っていく考えだ」と述べた。【青木純】