starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

「なぜゆっくり走ってくれなかった」 福知山線脱線事故から18年


 乗客106人と運転士が死亡、562人が負傷した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故は25日、発生から18年となった。小雨が降る中、事故現場では朝から追悼慰霊式が営まれ、参列した遺族らが犠牲者を悼んだ。

 現場に整備された慰霊施設「祈りの杜(もり)」では、発生時刻の午前9時18分に合わせて遺族やJR西日本の長谷川一明社長ら役員が黙とうをささげた。慰霊式で長谷川社長は「社員一人一人が事故の反省を深く心に刻み続けるとともに、日々のたゆまぬ努力を積み重ね、安全な鉄道を築き上げていくことを誓います」と述べた。

 長女の中村道子さん(当時40歳)を亡くした藤崎光子さん(83)=大阪市城東区=は、1月に東海道線で分岐器が凍結し、多くの乗客が列車内に閉じ込められた問題を挙げ、「JR西はいまだに安全をおろそかにしている。事故から18年がたったが、JR西には安全な会社になってほしい。それまでは死ねないという思いだ」と訴えた。

 発生時刻直前の午前9時15分ごろには、快速電車が事故現場のカーブを時速25キロに減速して通り過ぎた。車内では「安全運行に努め、改めてお客様から安心してご利用いただけるよう全力を挙げて取り組んでまいります」と放送が流れた。

 乗客の中には静かに目を閉じる人や、現場に向かって手を合わせる人がいた。1両目に乗っていた慶応大2年で留学生の朴太暎(パクテヨン)さん(20)=横浜市神奈川区=は韓国にいた約5年前、日本の鉄道について調べる中で事故を知ったという。「乗客の安全を後回しにして事故が起こったのは問題だ。悲惨な事故だが、防げたはずだと思う。同世代でも事故を知らない人も多いだろうが、世界中で鉄道の安全を考え直す日にしてほしい」と話した。

 当時、事故を目撃し、負傷者の救出に当たった吉野千春さん(61)は線路沿いで涙を流しながら祈りをささげた。「亡くなった人のことを思うと、なぜ電車は今日のようにゆっくりと走ってくれなかったのかとやりきれない。乗せているのは荷物ではなく、人の命だということをもう一度考えてほしい」と声を震わせながら話した。【清水晃平、小坂春乃、森口沙織、稲田佳代】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.