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ジョンソン元英首相、議員生命ピンチ パーティー巡り虚偽答弁疑惑


 英国のボリス・ジョンソン元首相が議員生命の危機に直面している。新型コロナウイルス流行の際、当時の行動規制に違反して首相官邸のパーティーに参加していた問題で、「議会を欺いた疑い」が調査されているためだ。意図的な虚偽答弁と認定された場合は議員失職の可能性もあるが、ジョンソン氏は潔白を主張している。

 「胸に手を当てて、議会にうそをついたことはないと言える」。英下院が設置した「特権委員会」の3月22日の公聴会の冒頭で、ジョンソン氏はそう述べた。

 問題となっているのは、英国でロックダウン(都市封鎖)や集会の人数制限といった厳しい規制が敷かれていた2020~21年のジョンソン氏の言動だ。規制中にもかかわらず、首相官邸などでは当時、複数人が集まるパーティーが繰り返し開かれていた。疑惑発覚後、ジョンソン氏は議会で「規則は守られていた」と答弁したが、22年には警察の捜査の結果、50ポンド(約8000円)の罰金が科されたため、野党から「議会で虚偽の答弁をした」と追及された。その後、下院はこの件について調査する特権委員会を設置した。

 英メディアによると、委員会の調査で虚偽答弁が認定された場合、下院が処分を決定する。議員資格が一時停止され、選挙区内でリコール(解職請求)署名が一定数に上れば議席を失う。ただ、その後の補選には出馬できる。調査結果は5月以降に公表される見通しと報じられている。

 焦点は「意図的」にうそをついたかどうかだ。ジョンソン氏は公聴会で、結果的に議会答弁が誤りだったことを認めて謝罪した。だが「当時は誰も私に(ルール違反だと)助言しなかった」と述べ、あくまで「意図的にうそをついたことはない」と主張。ルール違反は認識していなかったと強調した。

 パーティーの席上、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を守らなかったとの指摘については、官邸の部屋の狭さを考えると「完璧に順守されたわけではなかった」と認めた。一方でパーティー自体は「職員を慰労するために必要だった」などと述べた。

 一連のスキャンダルは、1970年代にニクソン米大統領の辞任に発展したウォーターゲート事件に例え、英国では現在、「パーティーゲート事件」と呼ばれている。警察当局は22年、コロナ対策の規制に違反したとして、ジョンソン氏を含む政府関係者ら83人に計126件の罰金を通告した。この中には当時のスナク財務相(現首相)も含まれている。

 ジョンソン氏は22年9月に首相を辞任したが、議員は続けており、与党・保守党内では現在も一定の影響力を維持しているとされる。首相復帰にも意欲的とみられ、実際に22年10月の保守党の党首選には出馬を検討したと報じられた。だが仮に首相に復帰しても再び疑惑を追及される可能性があり、「党は死のスパイラルに陥る」(ヘイグ元党首)といった反対論も根強く、出馬断念に追い込まれた。

 一連の疑惑については、事態を重く見た英政府も22年5月に内部調査報告書を公表。20年5月~21年4月の計16件の会合を調査した結果、集団飲酒については「上司が参加するため問題ない」と考えた職員も多かったと指摘した。そのうえで、こうした慣行について「上層部は責任を負わなくてはならない」とした。【ロンドン篠田航一】

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