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いじめ関与の生徒名、開示命令確定 熊本・高3自殺で最高裁棄却


 2013年に熊本県立高校3年の女子生徒(当時17歳)が自殺したのはいじめが原因として、遺族が県と当時の同級生8人に損害賠償を求めた熊本地裁での訴訟で、県の第三者委員会の調査報告書でいじめに関与したとされる生徒の氏名などを黒塗りにせず開示するよう命じた福岡高裁決定が4日までに確定した。高裁決定を不服とした県側の特別抗告を最高裁が3月31日付で棄却した。

 原告側代理人が4日、明らかにした。生徒は13年4月、遺書とみられるメモを残し、自ら命を絶った。県の第三者委が15年1月にまとめた調査報告書は、いじめに関与したとされる生徒の氏名などを黒塗りにしていた。遺族は関与した可能性がある生徒8人を独自に特定して、21年5月に熊本地裁に損害賠償を求めて提訴。同8月に、報告書などの内容を開示するよう熊本地裁に申し立てていた。

 地裁は22年5月、黒塗りされた生徒の氏名の開示を県に命じた。福岡高裁も同11月、地裁決定を支持し、県の即時抗告を退けた。

 高裁は決定で、遺族の要望を受けて第三者委が設置された経緯を踏まえ「(第三者委の)委員は調査報告書の重要部分が遺族に開示されることを想定し、それを前提に作成に当たったと推認される」と指摘。県は黒塗りの開示によって、調査に協力が得られないなど「公務の遂行に著しい支障が生じる恐れがある」と主張したが、高裁は「認められない」として黒塗りにした生徒の氏名などを開示するよう命じていた。

 原告側代理人の阿部広美弁護士によると、生徒の遺族は「娘が亡くなって10年がたち、全く分からなかったものの扉がやっと開かれる。ほっとしている」と話しているという。阿部弁護士は「黒塗りは遺族に寄り添った対応とは言えない。何のために調査をするのか、県には立ち返って考えてほしい」と話した。最高裁の決定を受け、遺族側は今後、賠償の請求先を再検討する方針という。

 毎日新聞の取材に県の担当者は「今後、決定に従って対応を検討していく」としている。県は損害賠償請求訴訟は争っている。【中村園子】

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