MBSラジオ(大阪市)の生放送で、経済評論家の上念司氏が朝鮮学校について「スパイ養成的なところもあった」と発言した問題で、上念氏が23日をもって番組のコメンテーターを降板した。本人が動画投稿サイトに「MBSラジオ、やめさせられました」などと投稿し、同社も事実を認めた。
上念氏は23日に動画投稿サイト「YouTube」で「MBSラジオが降板を申し渡してきた。私としては望むところ。正しいことを言って降板するのは」とコメントした。同社広報担当者は、話し合いによる降板は事実だとしたが、詳しい経緯は24日までに公表すると説明した。
2月21日放送の情報ワイド番組「上泉雄一のええなぁ!」で、上念氏は北朝鮮のミサイル問題を取り上げた際、朝鮮学校について「スパイ養成的なところもあった」などと述べた。その前には「OBが日本人の拉致に関わったりする」などと持論を展開した。
在日本朝鮮人人権協会(東京都)の傘下にある関西3団体が「発言はヘイトスピーチだ」と問題視し、3月3日付でMBSラジオに質問状を送付。同社は10日以降、当該発言を削除するなどの対応をした。
17日の記者会見で、同社の有貞直明コンテンツデザイン局長が「配慮に欠ける表現があったが、ヘイトスピーチには当たらない」と釈明し、前後の発言は「ある程度は事実に即している」と擁護。在日本朝鮮人大阪人権協会の文時弘事務局長は「上念氏の思想を社の幹部が代弁した形だ」と批判していた。
上念氏は火曜のコメンテーターで、21日の番組に出演し、春闘と日本経済について言及していた。【谷口豪、倉田陶子】