放送法の「政治的公平」を巡る安倍晋三政権時のやりとりを記した総務省文書問題で、当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相は15日の参院予算委員会で、「放送法の政治的公平に関するレク（説明）は受けていない」と改めて主張した。文書の中でレクに同席したとされる大臣室の事務方2人が「『絶対にない』と言ってくれている」と明らかにした。立憲民主党の杉尾秀哉氏への答弁。
文書問題では、2015年2月13日に総務省幹部が高市氏に対して政治的公平に関するレクを行った旨を記した行政文書が公表された。文書では、同省幹部が礒崎陽輔首相補佐官（当時）と総務省がやりとりしていた内容を高市氏に伝えたとされる。高市氏は一貫して文書の記載内容を否定している。
高市氏は15日の答弁で、「紙（行政文書）の内容が間違いであることをしっかり申し上げてきたつもりだ」と強調。当時大臣室に勤務していた担当参事官や大臣秘書官と連絡を取った際、2人から政治的公平に関するレクがなかったことを「しっかりと確認を取っている」と語った。
杉尾氏は高市氏の主張は根拠がないとし「答弁は全く信用できない」と非難。高市氏が「答弁が信用できないなら、もう質問をなさらないでください」と怒りをあらわにする場面もあった。高市氏は問題が表面化した当初に使った「捏造（ねつぞう）」との表現について「言葉がきつすぎるので、あえて繰り返しは使わない」とも語った。
内閣法制局の担当者は15年当時、政治的公平に関して総務省が「解釈の補充」とした一連の国会答弁について、事前に相談は受けていなかったと明らかにした。【小田中大】
