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情熱と行動力が生んだ尾道の「怪獣レモン」 逆転の発想でブランド化


 広島県尾道市の生口島で取れた規格外のレモンを「怪獣レモン」と命名した山岡由明さん(31)。形がいびつなほど値打ちが高まるという逆転の発想でジュースや菓子など関連商品も矢継ぎ早に売り出し、尾道の新たな土産として人気を集める。「農業でも稼げることを知ってもらえれば、Uターン者も増えるはず」と期待する。

 尾道市生まれ。大学卒業後、大阪で3年間のサラリーマン生活を経て人材派遣会社を設立した。会社は順調に成長し、月収は200万円を超えた。タワーマンションに住み、高級外車を乗り回す日々にむなしさを募らせ、28歳でUターンした。

 関心のあった農業への転身を決意し、SNSを通じて知り合った地元や隣接する世羅町などの農家で農作業に汗を流した。そこで出合ったのがゴツゴツと凹凸のあるレモンだった。いかつい形に魅力を感じ、恐竜に見立てて「怪獣レモン」の名称でインターネットのフリーマーケットサイトで販売したところ買い手がついた。「これは売れる」。手応えを感じた。

 そのころ、全国屈指のレモンの産地である尾道市瀬戸田町で生産者の片岡孝之さん(42)と出会った。「うちの畑にたくさんできるよ」。怪獣レモンの供給を約束してくれた。規格外のレモンは正規品の5分の1程度の安値しかつかず、片岡さんにとっても願ったりかなったりだった。

 販路を広げるため加工品としても売り出すことに。レモンと相性がいいサイダー開発を企画した。サイクリストに人気の老舗飲料メーカー、後藤鉱泉所(尾道市向島町)を訪ね「怪獣レモンでサイダーを出しませんか」と経営者を口説いた。2021年に商品化すると、飛ぶように売れた。

 その後もドレッシング、イカ天など次々と世に送り出し、ついにはアクセサリーも。瀬戸田町のレモン谷に設置した怪獣レモンのオブジェは「インスタ映え」するスポットとして、サイクリストに人気だ。一連の怪獣レモンプロジェクトは「今後の取り組みが期待できる事例」として22年に中国四国農政局「ディスカバー農山漁村の宝」奨励賞を受賞した。

 既に次なるプロジェクトが進行中だ。「ひらめきやアイデアは誰もが持っている。情熱と行動力があればきっと成功する」。自信に満ちた表情でそう話した。【渕脇直樹】

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