塩野義製薬の手代木功会長兼社長は24日、毎日新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」について、中国と韓国でも3月末までに薬事承認が得られるとの見方を明らかにした。
ゾコーバは軽症者向けの飲み薬で、日本では昨年11月に緊急承認された。韓国当局には現地の提携先企業を通じて今年1月に条件付き承認を申請。中国当局にも治験データを提出している。手代木氏は「現時点で両国とも、3月末までには何とか承認いただけるのではないかと思っている」と述べ、「(実用化する)国が増えるほど使用実績も積める」と期待感を示した。
米国での実用化については、現地での治験が今年いっぱいかかることから、2024年になるとの見通しを示した。
手代木氏はまた、日本で新型コロナの感染症法上の位置付けを「5類」に引き下げた後の対応について、抗ウイルス薬については公費負担の継続が望ましいとの考えを示した。
ゾコーバは現在、政府が200万人分を計1000億円で買い上げ、医療機関などに供給する体制を続けている。薬代は1人5万円の計算だ。一般の医薬品と同様に卸会社を通じた流通を始める際の薬価(薬の公定価格)については政府内で検討が進められているが、引き続き高額となることが見込まれる。既に一般流通している飲み薬「ラゲブリオ」は1人約9万4000円の薬価がついている。
手代木氏は5類移行後の冬が、次の流行対策の「本丸」になるとした上で「社会が混乱状態にならないことを確認するまでは、公費負担を継続いただきたい。医療サイドもそれを望んでいるのではないか」と語った。【横田愛】