トルコ南部を震源とした6日のトルコ・シリア地震で、シリアの被災状況が深刻化している。長年にわたり続く内戦で崩れやすくなった建物に地震が追い打ちをかけたとみられ、甚大な被害が出ている模様だ。支援も遅れており、とりわけ反体制派が支配する北西部には発生から1週間がたっても十分な物資が届いていない。
反体制派支配地域の北西部ジンディレスでは幼稚園が被害を受けた。娘（7）が通園しているというモハマド・ハッサンさんはロイター通信の取材に対し「娘はショックを受けている」と語った。北部アタレブで自宅が被災しテント生活を続ける男性（25）はAP通信の取材に「私は全てを失った」と話した。
シリアでは2011年、中東の民主化要求運動「アラブの春」に触発されてアサド政権に対するデモが始まり、内戦に発展。過激派組織「イスラム国」（IS）も一時勢力を伸ばし、アサド政権は空爆を繰り返した。国連は以前から反体制派支配地域の約410万人に支援をしてきた。9日以降は、トルコ国境経由で北西部に毛布などを運んだ。国連人道問題調整事務所（OCHA）のグリフィス所長（事務次長）は12日の声明で支援の遅れを指摘し「私たちの義務はこうした過ちをできるだけ早く是正することだ」と強調。13日には北西部アレッポを視察し、食料の支援や避難所の開設などを進める意向を示した。【畠山哲郎】
