観光庁は9日、6年ぶりに見直す国の観光政策の方針である「観光立国推進基本計画」の素案を公表した。2025年の訪日外国人客の目標は新型コロナウイルス禍前の19年(3188万人)を「超える」水準とした一方で、訪日客1人当たりの消費額は19年実績(15・9万円)より4・1万円多い20万円とし、消費拡大を図る方針を盛り込んだ。
同日、交通政策審議会観光分科会(国土交通相の諮問機関)で示した。
同計画は数年おきに見直しており、今回の計画は新型コロナの感染拡大後、初めての見直しとなる。期間は、23年度から大阪・関西万博が開かれる25年度までの3年間。
政府は30年に訪日客を6000万人、消費額を15兆円に拡大する「観光ビジョン」を掲げている。コロナ禍で訪日客受け入れを一時中断したが、水際対策の緩和などを受け新たに計画をまとめた。
ただ、訪日客数の約3割を占めた中国に対し水際対策を強化していることなどを反映し、訪日客数の目標は「19年水準超え」との表現にとどめた。
一方で、1人当たりの消費額を増やし国内経済への波及効果を高めたい考え。そのため、滞在日数の増加や体験型の観光などに力を入れる方針で、地方への誘致や訪日客に人気の古い街並みを生かした街づくりなどを支援する。
国内観光では、25年の旅行消費額は19年比0・1兆円増の22兆円、地方での延べ宿泊者数は同0・2億人泊増の3・2億人泊とした。旅先で仕事をする「ワーケーション」の拡大などに力を入れる。【高田奈実、高橋祐貴】