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中国の大型気球が米領空に侵入 偵察目的か 撃墜は見送り


 米国防総省は2日、大型の気球が1日までに米領空に侵入したと発表した。国防総省は中国が偵察目的で飛行させていると分析し、外交ルートで中国に問題を提起した。米軍はF22ステルス戦闘機などを発進させ、撃墜することも検討したが、地上の民間人や施設に被害が及ぶ恐れがあるとして撃墜は見送った。

 国防総省高官によると、米政府は1日までに、民間航空機の飛行空域よりも上空を気球が飛行し、米領空内に入るのを確認した。高官は具体的な地域は明かさなかったが、「軍事的に機密度の高い施設の上空を飛ぼうとしており、偵察目的は明らかだ」と指摘した。

 フィリピンを訪問中だったオースティン国防長官は1日、急きょ幹部会議を招集。住民が少ない西部モンタナ州の上空で撃墜することも検討したが、制服組トップのミリー統合参謀本部議長や米北方軍のバンハーク司令官は「地上に落下し、民間人や施設に被害が出る恐れがある」として強く反対。気球による偵察を妨害する措置をとりながら、監視を続ける方針を提案し、バイデン大統領から了承された。

 気球は2日夕(日本時間3日朝)時点で米領空を飛行中で、北方軍が監視を続けている。気球が偵察目的で米領空に入る事案は、近年でも数回あったという。

 気球は長時間、一定の空域に滞空しながら偵察するのに適しているとして、軍事的な利用価値が見直されている。ただ、今回の気球による偵察に関して、米国防総省高官は「衛星による偵察で得られる情報と比較して、大きな付加価値があるとは言えない」と指摘している。【ワシントン秋山信一】

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