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「生きる素晴らしさ伝えたい」=亡き娘思い、語り続ける―遺族代表の上野さん・阪神大震災


 神戸市主催の阪神大震災追悼式典で、遺族代表として「追悼のことば」を述べた児童養護施設指導員の上野政志さん(75)=兵庫県佐用町=は、長女の志乃さん=当時(20)=を亡くした。震災後、大学などで講演を続けてきた上野さんは「今を大事にしてほしい。娘の死を通して、生きることの素晴らしさを伝えたい」と訴える。  震災当時、志乃さんは神戸大の2年生だった。下宿先の神戸市灘区のアパートで就寝中に地震に遭い、建物が崩壊して下敷きになった。遺体は翌日の夕方、上野さんががれきの中から見つけた。「(娘の)足に触れ、氷より冷たかったという思いが今も消えない。頭が真っ白になり、どん底に突き落とされた」と振り返る。2カ月後に現場の解体撤去が始まるまで毎日、遺品を探しにアパートに通った。  一番の思い出は、震災前の1995年1月14日、志乃さんが成人式出席のために帰省した際に家族でトランプをしたことだという。「家族で集まってわいわいしていた」。震災前日の同16日に自宅近くの駅で交わした「じゃあまたね」が最後の会話になった。  上野さんは「娘のことを伝え、多くの人に知ってもらえれば、娘が生きていることにつながる」との思いで講演を続けてきた。講演では親より子どもが先に亡くなる「逆縁(ぎゃくえん)」の悲しさや生と死について話している。「死を学んでこそ、生きる値打ちがあると分かった」といい、今後も講演を続けるつもりだ。  毎朝、線香を上げて志乃さんに声を掛けるのが上野さんの日課。遺族代表を引き受けた際は「志乃のことを伝える機会が増えたからありがたい」と話し掛けた。震災から28年。記憶の風化も懸念されるが、上野さんは「まだ28年。当事者からすれば、いつまでも『まだ』という言葉になる」と語る。これからも志乃さんのことを伝え続ける。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕涙ながらに「追悼のことば」を読み上げる遺族代表の上野政志さん=17日午前、神戸市中央区の東遊園地 〔写真説明〕生前の上野志乃さん(上野政志さん提供)
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