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迫られる発射ボタン押す決断=トマホーク「矛」に集団的自衛権行使―日米同盟と反撃能力


 国家安全保障戦略など安保3文書が改定され、守りに徹してきた自衛隊は「盾」だけでなく、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)として他国を攻撃できる「矛」を備える。3文書は安倍政権で容認された集団的自衛権行使に基づき、米国と敵対する第三国にミサイルを撃ち込めるお墨付きも与えた。軸となるのが導入される米軍の打撃力の象徴、巡航ミサイル「トマホーク」だ。時の政権は、米国の「参戦」要請の重圧の下、発射ボタンを押す決断を迫られる可能性がある。  国家安保戦略は、政府が1956年に憲法解釈上、敵基地攻撃を「自衛の範囲」とした政府見解について、安全保障関連法の下でも「当てはまる」と明示。米国が攻撃を受け、日本が危機に直面する「存立危機事態」に認定されれば、集団的自衛権を行使し、反撃能力を使って他国の基地を攻撃することは法的に可能との解釈を示した。  「盾だけでなく、矛の象徴になる」。防衛官僚はトマホークを搭載する海上自衛隊イージス艦の位置付けをこう表現する。北朝鮮の弾道ミサイルを洋上で撃墜する役目を担う横須賀(神奈川)、舞鶴(京都)、佐世保(長崎)各基地のイージス艦計8隻はミサイル防衛の「盾」だ。防衛省によると、2026、27年度にトマホークを配備する計画。自衛隊の中でも圧倒的な火力を持つ「矛」になる。  トマホークの射程は1600キロ。日本周辺から北京、平壌に届く。湾岸戦争やイラク戦争、シリア攻撃などで米軍が使用した。防衛省関係者によると、イージス艦の発射装置や射撃管制ソフト、戦闘指揮所などを改修すれば、1隻当たり最大で90発以上を搭載可能。目標まで精密誘導する米軍衛星とネットワーク化されれば、米軍の情報に基づき敵基地攻撃を行える。  例えば北朝鮮が米国に対し、「米の大都市を火の海にする」とどう喝。米西海岸ロサンゼルス沖の領海に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を撃ち込んだとする。米軍は臨戦態勢に入り、日本政府に「日米共同作戦」を打診。米イージス艦とともに、北朝鮮の防空レーダーなど固定目標をトマホークでたたくよう要請する事態もあり得る。  政府は短時間で存立危機事態に認定するか決断を迫られる。応じれば戦火に巻き込まれ、国内の原発が報復の標的にされるリスクもある。一方で、要請を断れば日米安保条約の存続に関わる問題に発展しかねない。対日防衛義務を米国に課しながら、日本に米国を守る義務がない同条約は「片務的」との意識が米政府に根深くあるからだ。  米海軍と海自は「NAVY TO NAVY(海軍同士)」を合言葉に関係を深めてきた。今夏には存立危機事態を想定した訓練を初めて実施。自衛隊幹部は「米のピンチに助けなければ、現場で長年築いた信頼関係は消失する」と断言した。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕演習で巡航ミサイル「トマホーク」を発射する米海軍のイージス艦=2019年5月、フィリピン海(米海軍提供) 〔写真説明〕国際観艦式に参加した海上自衛隊のイージス艦「あしがら」。八角形の大型レーダーがイージス艦の特徴=11月6日、相模湾
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