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半導体投資競争が加速=TSMC、米で最先端工場―中国に対抗


 【ワシントン、台北時事】半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、最先端半導体の米国生産に初めて乗り出す。経済安全保障の観点から半導体の自国生産の重要性が高まる中、中国とハイテク覇権を争う米国にとっては大きな一歩で、半導体産業への投資競争が加速することになりそうだ。  TSMCは6日、米西部アリゾナ州で建設中の工場の近くに、世界でも量産体制が確立していない最先端の回路線幅3ナノメートル(ナノは10億分の1)の工場を新設すると発表。投資総額を当初計画の3倍超の400億ドル(約5.5兆円)まで引き上げる。外国からの対米直接投資として史上最大級となる。  「米国が強固なサプライチェーン(供給網)を築けば、同盟国や友好国も協力していこうということになる」。バイデン米大統領は同日、TSMCがアリゾナ州の工場予定地で開いた式典で誘致の成果を強調した。TSMCは最先端半導体の生産で世界シェア9割を握るトップ企業で、半導体投資競争における「台風の目」だ。  米中対立を背景に「台湾有事」のリスクが高まる中、米国は半導体生産が集中する台湾、韓国、日本と共に「半導体同盟(Chip4)」の結成を目指す。TSMC創業者の張忠謀氏は式典で「地政学的な変化」を念頭に対米投資を拡大すると語った。  米国は補助金をてこに半導体の国産化を急いでいる。政府介入による産業政策をタブー視してきた従来方針を覆し、8月に成立した半導体補助金法に総額527億ドルの補助金を盛り込んだ。日本政府もTSMCなどが熊本県に建設する半導体工場に最大4760億円の補助金を出す計画だ。  米半導体工業会(SIA)の推計によると、中国政府が過去20年間に自国の半導体産業に投じた補助金は500億ドルに達するが、最先端の3ナノ製品を量産できるレベルにはまだない。バイデン氏は「米国は世界経済をリードする上で有利な立場にある」と語り、対中競争に打ち勝つ決意を示した。 【時事通信社】 〔写真説明〕台湾積体電路製造(TSMC)が米アリゾナ州で建設中の半導体工場を視察するバイデン米大統領=6日、米アリゾナ州フェニックス(AFP時事)
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