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ロシア侵攻で「二つの北極」=高まる緊張、多国間協力凍結―「鉄のカーテン」先住民も分断


 【キルケネス(ノルウェー北部)時事】北極圏が真っ二つに割れている。ロシアのウクライナ侵攻を受け、フィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請。北極圏沿岸の半分を領有するロシアとNATOが対立する構図が固まった。気候変動や生物保護などあらゆる分野でロシアとの協力は凍結され、新たな「鉄のカーテン」は国境をまたいで居住する先住民を分断しつつある。  ◇北端のせめぎ合い  528段の階段を上り、2階建ての簡素な建物にたどり着いた。氷点下の気温にもかかわらず、額に汗がにじむ。ノルウェーの北端、北極圏に位置する陸軍の監視台「OP247」だ。  その東側、小さな川の対岸はロシア領コラ半島。戦略原子力潜水艦を擁する北方艦隊が司令部を置く。バレンツ海を挟む北側のノルウェー領バルデには、米軍のレーダー施設が目を光らせる。  北極圏を戦略的重要地域に位置付けるロシアは近年、基地の拡張や近代化を加速し、北方艦隊を軍管区に昇格させた。米国とNATOはこれに対抗し、北極圏で警戒を強化。資源や新航路開拓を狙う中国も虎視眈々(たんたん)と参入機会をうかがう。「2014年の(ロシアによる)クリミア併合以降、明らかに地域の緊張は高まった」とノルウェー陸軍のマイケル・ロズマラ中佐は語る。  ◇侵攻前に戻らず  軍事的なせめぎ合いの一方、米ロを含む北極圏8カ国は「北極評議会」を通じ、気候変動や海洋環境保護などの協力を維持してきた。だが、それも評議会の輪番制議長国を務めるロシアのウクライナ侵攻で一変した。  ロシアを除く北極圏7カ国は今年3月、北極評議会の会合ボイコットを宣言。6月に7カ国だけで活動を再開したものの、「ロシアからのデータ提供がなければ、正確な科学的分析や予測は難しい」(ノルウェー政府関係者)のが現状だ。  北極圏では温暖化が他の地域と比べ3~4倍のスピードで進行しているとされる。「温暖化対策は一刻の遅れも許されない」と同関係者。ただ、ノルウェー北極大学のマーク・ランテイン准教授は「ロシアを含む多国間協力が侵攻前の状態に戻ることはないだろう」と悲観する。  ◇途絶えた交流  北欧とロシアにまたがる地域でトナカイの放牧などを行う先住民族サーミは、冷戦期と同じ分断の危機に直面している。ロシアのサーミ団体は3月、ウクライナ侵攻を支持する声明に署名。同団体幹部がウクライナ侵攻の象徴である「Z」マークを描いたギターを演奏する映像もインターネット上に出回った。  全サーミの権利擁護を目的とする「サーミ評議会」はこれを受け、傘下のロシア側団体との交流凍結を決めた。ノルウェーに住むサーミのビヨーン・ストレ・タピオさんは「国境はまだ閉ざされていないが、ロシア側と連絡がほぼ取れなくなり、再び『鉄のカーテン』が下りたかのようだ。30年かけて築いた関係を断たれるのが悔しい」と語った。 【時事通信社】 〔写真説明〕対ロシア国境付近にあるノルウェー陸軍の監視台「OP247」で警戒に当たる兵士=20日、ノルウェー北部 〔写真説明〕北欧とロシアにまたがる地域で暮らす先住民族サーミの男性=20日、ノルウェー北部ネイデン
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