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マレー半島横断の陸上橋構想=太平洋とインド洋連結―政府前のめり、地元懸念・タイ


 【バンコク時事】タイで南部のマレー半島を横断し、太平洋とインド洋を結ぶ陸上橋「ランドブリッジ」を建設する計画が持ち上がっている。完成すれば東アジアとインド・中東を連結する新たな大動脈が誕生する。前のめりの政府に対し、地元では環境への影響を懸念する声が強い。半島の両岸に巨大な港を新設し、陸上橋で結ぶという壮大な構想に、実現性をいぶかる見方もある。  計画では、マレー半島西側のラノン県と東側のチュムポン県に大型の貨物船やタンカーが着岸できる深海港を建設。両港を道路と鉄道、パイプラインで結ぶ。港で船から貨物をトラックや列車に積み替え、半島の反対側まで運んで再び船に載せれば、慢性的に混雑するマラッカ海峡を通過せずに輸送が可能になる。  ランドブリッジが計画されているのは、マレー半島の幅が50キロ以下と最も狭くなる「クラ地峡」付近。一帯では17世紀から運河建設が繰り返し提唱されながら、莫大(ばくだい)な工費や水位の違いが障害となって実現せず、代替案として陸上橋が浮上した。旗振り役を務めるサックサヤーム運輸相は「マラッカ海峡を通過するより所要日数を3~5日短縮できる」と説明する。  ラノン県側の港建設予定地であるアオアーン地区は、青々と茂るマングローブに覆われている。観光振興組織を率いるプリーチャーさん(56)は「国内で最もマングローブが豊かな場所。自然を破壊してまで構想を推進する価値があるのか」と疑問を呈し、「地元に説明がないまま場所が発表された。住民は驚いている」と憤りをあらわにした。  マングローブが失われれば、地元を支える漁業や農業、観光業が打撃を受けかねない。ボートで観光客をマングローブ林に案内している観光業のキタナパットさん(53)は「仕事がなくなる」と戸惑う。漁師のバンムットさん(61)は「建設が始まったら、漁業に適した環境が破壊されてしまう」と懸念を示した。  これに対し、推進派のマヌス元県商工会議所会頭(60)は「実現すれば世界有数の貿易港になるだろう」と力説する。環境への影響は認めつつも「産業発展のためには多少の犠牲はやむを得ない。見返りの方が大きい」と話している。 【時事通信社】 〔写真説明〕深海港の建設が予定される海上で、取材に応じるプリーチャーさん=5月、タイ南部ラノン県アオアーン地区 〔写真説明〕マングローブが茂る深海港の建設予定地近くで、魚の養殖を行う漁師=5月、タイ南部ラノン県アオアーン地区
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