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鉱物不足、脱炭素に影=開発・供給網がネック


 電気自動車(EV)や風力発電に不可欠で、「脱炭素技術のカギ」とされる鉱物資源の需要が急増している。ただ、環境意識の高まりから鉱業界への風当たりは強く、増産に向けた開発の動きは鈍い。専門家は国際連携を訴えるが、中国頼みのサプライチェーン(供給網)もネックとなり、鉱物不足が世界の温暖化対策に影を落としている。  東欧セルビアの西部ロズニツァ近郊に広がる農村地帯には、EV用電池に使うリチウムの巨大鉱床が眠る。英豪系鉱業大手リオ・ティントは昨年7月、24億ドル(約3400億円)規模の開発に着手。セルビア政府の後押しも受けたが、環境への悪影響を懸念する地元住民らの激しい抗議運動に遭い、事業計画は頓挫した。  EV普及を推し進める欧州では、リチウム消費量が今後30年で「最大35倍」(研究機関)に膨れ上がる見込み。セルビアは欧州最大の供給源になると期待されていただけに、「欧州連合(EU)は気候変動対策の遂行が難しくなった」(ドイツ紙)との見方が広がっている。  国際エネルギー機関(IEA)は、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとするにはリチウムやニッケル、コバルト、マンガン、銅などの増産が欠かせないと強調する。半面、鉱床開発には環境・労働問題などのリスクが付きまとう。技術革新が進むにつれて必要な鉱物の種類が変わる可能性があるため、鉱業界は思い切った投資に慎重だ。  競争力を左右する供給網の見直しも喫緊の課題。リチウムやコバルトの中間処理は6~7割を中国が担っている。しかし、台湾情勢が緊迫化する中、展開次第では中国から西側諸国への輸出が制限される事態も取り沙汰されており、主要国には「(脱中国の)圧力が増している」(米シンクタンク)という。  こうした背景から、英国は今年7月、鉱物情報の収集・分析を行う政府機関を創設。8月には米国でEV用電池材料の自国調達を促す法律が成立した。  エネルギー安全保障や気候変動に詳しい米戦略国際問題研究所のシニアフェロー、ジェーン・ナカノ氏は「鉱物の供給網が刷新されてクリーンな技術の利用が増えれば、全ての国が恩恵を受ける」と指摘。資源を囲い込むのではなく、安定確保に向けて各国・企業が国際的に連携すべきだと呼び掛けた。 【時事通信社】 〔写真説明〕リチウム鉱床が見つかったセルビア西部ロズニツァ近郊の農村地帯=2021年12月(AFP時事)
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