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断水で損害、自治体の責任は=条例の「免責」、最高裁認めず


 水道施設の故障による断水で生じた損害の責任を自治体が負うべきか。沖縄県宮古島市のホテル2社が市に賠償を求めた訴訟で、最高裁は7月、条例に基づく免責を認めて請求を退けた二審の判断を否定し、高裁での審理のやり直しを命じる判決を出した。同様の条例を設ける自治体は全国にあり、各地の水道行政に影響する可能性がある。  ◇老朽化「やむを得ない」事情?  2018年の大型連休中、宮古島市で断水が発生。原因は、約40年前に設置した配水池内の水位を調整する装置の故障だった。原告2社は宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、併設する飲食店が営業停止に追い込まれたなどとして、水道事業者の市に計約350万円の賠償を求めて提訴した。  市側は、「災害や水道施設の損傷、その他やむを得ない事情がある場合、断水で損害が出ても市は責任を負わない」と定めた給水条例を盾に争った。一審那覇地裁、二審福岡高裁那覇支部は「定期的な保守点検で破損に気付くのは容易ではなかった」として、市側の言い分を認めた。  これに待ったを掛けたのが最高裁だ。第3小法廷は、水道法で「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合は給水を停止できる」と定められているとして、条例を根拠とした免責を否定。水道法上の「やむを得ない場合」に当たるかを判断するため、審理を高裁に差し戻した。  ◇水道代値上げも  行政法が専門の清水晶紀・明治大准教授は、「公共インフラなので市町村の裁量ではなく国が定めた水道法に基づくべきだとの判断だろう」と推察。水道法の趣旨は「災害と同等の事情がない限り給水義務は免れない」ということだとして、「老朽化による水道施設の損傷は免責にならないとの判断も十分あり得る」とみる。  ただ一、二審判決は「水道事業者には人手や経済的な制約があり、施設を完璧に管理するのは困難だ」とも指摘。「事業者の過失で損害賠償を認めれば、賠償額が極めて多額になり、結果的に水道料金の値上げを余儀なくされることもあり得る」と言及した。  清水准教授は「施設の老朽化について免責が認められなければ、自治体はより厳格な施設管理を求められる。人件費や資材交換などの支出増加に伴い、水道料金を値上げせざるを得なくなる可能性もある」と話している。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕断水の原因となった沖縄県宮古島市の配水池。水位調整装置に不具合が起きた(同市ホームページから)
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