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「不条理への怒り、原動力に」=シリア同行のジャーナリスト―山本美香さん死亡から10年


 ジャーナリストの山本美香さん=当時(45)=がシリア内戦を取材中に銃撃され、死亡してから20日で10年。所属していた独立系通信社「ジャパンプレス」代表で、当時取材に同行していた佐藤和孝さん(66)=東京都杉並区=は、共有してきた「戦地の不条理を伝えたい」という思いを胸に、山本さんの死後も多くの戦地で取材を続けている。  2012年8月20日。シリア内戦の取材で北部の都市アレッポを訪れていた山本さんと佐藤さんは、市街地の上空を爆撃機が飛ぶ中、4人態勢で反政府武装組織に同行していた。道行く人などを取材していたところ、突然、縦列を組んだ政府系民兵の集団に銃撃された。佐藤さんはとっさに逃げたが、山本さんは巻き込まれて死亡した。  杉並区の同社事務所内にある山本さんの机は、シリアへの取材にたった時のまま残されている。コーヒーカップや筆記用具などが置かれ、付箋には「外国人ジャーナリストがいることで最悪の事態をふせぐことができる。抑止力」とつづられていた。「片付けたくないんだよね」。公私にわたるパートナーだった佐藤さんは寂しそうに語った。  山本さんは山梨県都留市出身。CS放送局の記者などを経てジャパンプレスに所属し、アフガニスタンやイラクなど紛争が続く地域の実情を伝えてきた。取材で行動を共にしてきた佐藤さんは、「本当に腹の据わった人だった」と評し、「不条理や不正義に対して、『何でこんな世の中なのか』という腹の底から湧いてくるような怒りが原動力になっていた」と振り返る。  山本さん死亡の2カ月後、佐藤さんは仲間らと「山本美香記念財団」を設立。「彼女のジャーナリストとしての魂を生かしてあげたい」との思いから、果敢で誠実な国際報道に関わった人に、山本さんの名を冠した賞を贈る活動を続けている。  今年3月にはロシアの侵攻を受けたウクライナに入り、首都キーウ(キエフ)や近郊のブチャで約1カ月間、戦地の様子を報じた。「現場で何が起きているのか、事実を伝え続けたい。それが世の中が良くなる一助になれば」と願う。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕アフガニスタンで取材中の山本美香さん(2011年撮影、ジャパンプレス代表・佐藤和孝さん提供) 〔写真説明〕山本美香さんの机に残された付箋=17日午後、東京都杉並区 〔写真説明〕イラクで取材中の山本美香さん(2004年撮影、ジャパンプレス代表・佐藤和孝さん提供) 〔写真説明〕山本美香さんの机の前で取材に応じる佐藤和孝さん=17日午後、東京都杉並区
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