「司法の武器化」と一斉批判＝米共和、トランプ氏宅捜索で結束

　【ワシントン時事】米連邦捜査局（ＦＢＩ）が８日、トランプ前大統領の南部フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」を家宅捜索したことを受け、共和党は司法制度を武器として使っていると一斉に批判した。前代未聞の前大統領宅への捜索はトランプ氏支持者の怒りを招き、米社会の分断と混乱を一層深めかねない状況だ。 　共和党下院トップのマッカーシー院内総務は９日、ツイッターで「司法省は容認できないまでに武器化、政治化した。（１１月の中間選挙で）多数派を奪還すれば、迅速に同省の検証を行う」と宣言。ペンス前副大統領も「司法省の党派性に対処しなければならない」とツイートした。 　家宅捜索の報道後、マールアラーゴの前には抗議するトランプ氏支持者が大挙して押し寄せた。トランプ氏は自身を犠牲者に見立て「魔女狩りだ」と主張しており、捜索は中間選挙や２０２４年の大統領選に向け、ほころんだ共和党の結束を再び強めそうだ。 　捜査当局は依然、公式な説明を行っていない。米メディアによると、トランプ氏はホワイトハウスから機密を含む在任中の公文書を持ち出し、公文書保存を義務付ける大統領記録法違反に当たる可能性がある。トランプ氏の次男エリック氏は８日、ＦＯＸニュースに出演し「父が文書を持っていないか、国立公文書館が確認するための捜索だと捜査官は話した」と説明した。 　一方、ジャンピエール大統領報道官は９日の記者会見で「司法省は独立して捜査を行う」と強調し、一切のコメントを避けた。捜索実施について事前の報告はなく、バイデン大統領やホワイトハウス関係者も「報道で知った」と明らかにした。　【時事通信社】 〔写真説明〕トランプ前米大統領＝２０１９年１２月、南部フロリダ州パームビーチ（ＡＦＰ時事） 〔写真説明〕ペンス前米副大統領＝４月１２日、南部バージニア州シャーロッツビル（ＡＦＰ時事） 〔写真説明〕９日、米南部フロリダ州パームビーチにあるトランプ前大統領の邸宅「マールアラーゴ」付近に集まった支持者（ＡＦＰ時事）