前政権関係者ら処刑・拷問＝タリバン復権１０カ月で―国連報告書

　【ニューデリー時事】国連アフガニスタン支援団（ＵＮＡＭＡ）は２０日、アフガンでイスラム主義組織タリバンが昨年８月に実権を掌握して以降１０カ月間の人権状況をまとめた報告書を公表した。タリバン暫定政権は前政権関係者ら数百人に対し処刑や拷問を行ったとし、女性の置かれた状況にも懸念を示した。
　報告書によると、暫定政権は前政権や治安部隊の関係者ら１６０人の「超法規的処刑」を行い、１７８人を恣意（しい）的に逮捕・拘束した。
　また、女性の就労や教育の権利の侵害について、暫定政権の「最も顕著な側面」と批判。記者やメディア関係者に対する弾圧もあったとした。
　一方、過激派組織「イスラム国」（ＩＳ）系武装勢力による攻撃で民間人７００人が殺害され、１４０６人が負傷したと指摘した。
　ＵＮＡＭＡのポツェル代表代行は声明で、タリバンの政権復帰以降、治安が改善したことは認めつつ、「特に女性は完全な人権を享受できていない」と憂慮した。
　報告書公表を受け、タリバンのムジャヒド報道官はツイッターで「真実ではなくプロパガンダだ」と反論した。　【時事通信社】
〔写真説明〕２０日、カブールで記者会見する国連アフガニスタン支援団（ＵＮＡＭＡ）のポツェル代表代行（ＡＦＰ時事）