前会長「ワンマン経営者」＝規則変更で在任１０年―香川容疑者・幼稚園連合会資金着服

　業務上横領容疑で逮捕された全日本私立幼稚園連合会前会長の香川敬容疑者（７０）は、規則を変えて会長の任期を延長するなどし、１０年間の「長期政権」を築いた。幼児教育振興を掲げ、国や議員への働き掛けを強める一方、組織運営には口出しをさせなかったといい、関係者は「教育者というよりもワンマン経営者だった」と語った。 　香川容疑者は、山口県防府市の仏教系幼稚園園長や同県の私立幼稚園協会理事長を経て、２０１０年に全日本私立幼稚園連合会会長に就任。山口県公安委員会委員も務めたが、２１年３月に「一身上の都合」を理由に辞職した。 　関係者などによると、会長就任後は幼児教育無償化に向け、議員会館に足しげく通って陳情する姿などが見られた。政界への働き掛けは他人に任せず、「俺を通せ。余計なことはするな」と周囲に指示。交渉窓口を自身に一本化するよう求めたとされる。 　連合会関係者は「陳情活動では成果を挙げた」としつつ、「政治的な動きは得意だが幼児教育者として名を上げた人ではない」と指摘する。スポーツカーを乗り回し、高級ブランド品を好む派手な一面もあったという。 　一方、連合会前事務局長の勝倉教雄容疑者（４９）については、香川容疑者の言いなりに動くような関係だったとし、「まるで私設秘書のようだった」と話した。　（了）【時事通信社】