叫ぶ聴衆、助け求める関係者＝目撃男性の撮影動画―安倍氏銃撃

　「撃たれたの？」「救急車、救急車」。８日午前、奈良市で演説中だった安倍晋三元首相が銃のようなもので撃たれた事件で、目撃者が撮影した動画には鳴り響く２度の大きな音や聴衆らの悲鳴、懸命に心臓マッサージをする人の姿などが収められていた。 　撮影したのは、奈良県山添村の村議（４６）。動画を撮りながら安倍元首相の演説を聴いていたところ、「バン、バン」という破裂音が聞こえ、焦げたような臭いがしたという。 　動画内で、安倍氏は右手にマイクを握り、左手のこぶしを振り上げながら演説していた。その直後、２度の大きな音が聞こえ、白い煙が上がった。１度目の音の後、周囲の陣営関係者らは驚いた様子で身をかがめたが、安倍氏は表情を変えず、こぶしを掲げたまま振り返った。２度目の音の後、倒れたとみられる。 　「ぎゃー」「やだー」「なに？」。聴衆らは一瞬の出来事に戸惑い、悲鳴を上げ、パニック状態に。１０秒ほどたち、「撃たれたの？」「救急車呼んで」「警察、警察」と叫ぶ声が聞かれた。 　道路上に倒れ込んだ安倍氏の元には十数人が駆け寄り、すぐさま心臓マッサージを開始。関係者とみられる男性がマイクで「お医者様、看護師の方はいませんか」「ＡＥＤ（自動体外式除細動器）はありませんか」「どうか助けてください」と叫ぶように呼び掛けると、複数の人がＡＥＤを探しに走った。 　山上徹也容疑者と思われる男は２度目の音の直後、スーツ姿の男性３、４人に取り押さえられ、担がれるようにして連行された。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕近鉄大和西大寺駅前で演説中に撃たれ、倒れた安倍晋三元首相（中央）＝８日、奈良市（目撃者提供） 〔写真説明〕安倍晋三元首相が遊説中に銃撃され、騒然とする近鉄大和西大寺駅前＝８日、奈良市（目撃者提供）