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娘失った日「きのうのこと」=悲しみと悔い消えず―熱海土石流


 あと1分あれば―。静岡県熱海市伊豆山地区に住んでいた小磯洋子さん(72)の長女西沢友紀さん=当時(44)=は、自宅から避難しようとした際、土石流に襲われ命を落とした。小磯さんは気持ちの整理がつかないまま1年を過ごし、「私にとっては、きのうのこと」と声を震わせた。  昨年7月3日、友紀さんが夫、娘(5)と暮らすアパートに大量の土砂が押し寄せた。3人が避難しようとした時、既に玄関ドアは開かない状態で、友紀さんは部屋の窓から外へ出ようとした。  アパートが崩れ落ちたのは、先に出た夫に娘を預けた直後だった。「本当に1分だけ。1分でいいからください」。あの日を思い返しては、何度も強く願ってしまう。  「孫が大きくなったら3人で旅行したり、ご飯を食べに行ったりしたいなと思っていた」。友紀さんと孫の成長を見届けながら、もっと話をしたかったし、けんかもしたかった。失ったのは「特別なことではなく、普通の日常」だと感じる。  アパートに土石流が迫る前、2人は電話で連絡を取り合っていた。「怖かったらうちへおいで」。避難を迷う友紀さんに掛けた最後の言葉となった。1年たっても悲しみと悔しさが交錯する。  土石流の発生後、崩落起点付近に不適切な盛り土が造成されていたことが明らかになった。小磯さんは「私たちは盛り土があることすら知らされていなかった」と憤る。  「危険な盛り土があると知っていたら、住民運動を起こしていた」。盛り土の存在を周知しなかった行政の対応にも不信感を募らせている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕静岡県熱海市の土石流災害で亡くなった西沢友紀さんの日記を読む母親の小磯洋子さん=6月19日、熱海市
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