ロシア、ドネツク州に戦力移動か＝ウクライナ東部支配へ攻勢

　ウクライナ東部ルガンスク州の拠点都市セベロドネツクを掌握したロシア軍は、隣接するドネツク州攻略に戦力を移動させつつある。ドネツク州のキリレンコ知事は２６日、同州北部に兵力や装甲車両、火砲が集中しつつあると指摘。ルガンスク、ドネツク両州から成るドンバス地方の完全制圧を目指すロシア軍が今後、ドネツク州で攻勢を本格化させるとの見通しを示した。 　キリレンコ知事は地元メディアに対し、ロシア軍がセベロドネツクの西方に位置するドネツク州の都市スラビャンスク方面へ戦力を移しており、同市の一部は砲撃を受け始めたと説明。「敵は都市部砲撃のため防衛線に接近するというよく知られた戦術を使っている」として、「住民は避難すべきだ」と呼び掛けた。 　ウクライナ軍は依然ドネツク州の半分近くを支配しているとみられる。ロシア軍はスラビャンスクに加え、親ロシア派が支配する州都ドネツク西方のクラホボ、同北方のアウデエフカの３カ所を攻撃。米ＣＮＮテレビによれば、クラホボは州南部における戦闘の前線として、過去２カ月にわたり攻撃対象となっていた。 　親ロシア派が２０１４年にドネツク州庁舎などを占拠して以降、クラマトルスクが事実上の州都になっている。 　ウクライナ軍はルガンスク州の中心都市セベロドネツクでロシア軍に抵抗を続けていたが、圧倒的な物量の差に耐え切れず撤退した。セベロドネツクのストリュク市長は２５日、「市は完全にロシア軍占領下に入った」と認めた。ウクライナ軍はセベロドネツクの対岸にあるリシチャンスクで抗戦する構えだが、ルガンスク州はほぼ全域がロシア軍支配下に入っている。　【時事通信社】