ＩＲジャパン元副社長を強制調査＝インサイダー取引容疑―監視委

　「物言う株主」への企業対応を行うコンサルティング会社「アイ・アールジャパン」（ＩＲジャパン、東京）の元副社長（５５）が、持ち株会社ＩＲジャパンホールディングス（ＨＤ）株をめぐりインサイダー取引に関与した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反容疑で同社本社や元副社長宅などを強制調査していたことが６日、関係者への取材で分かった。 　ＩＲジャパンＨＤは同日、「元役員が嫌疑の対象となり、調査に全面的に協力する」とのコメントを出した。監視委は元副社長から任意で聴取しており、東京地検への告発も視野に株取引の経緯を調べている。　 　関係者によると、元副社長は２０２１年ごろ、同じく副社長や最高執行責任者（ＣＯＯ）を務めるＩＲジャパンＨＤの未公表情報を知人に伝えた疑いが持たれている。同社株は同年１月に１万９５５０円の最高値をつけた後、同４月の業績予想の下方修正で１万６０００円台から１万３０００円台に下落。現在は３５００円台で推移している。 　監視委は今月１日に関係先を家宅捜索するなど強制調査に着手。元副社長は大手証券会社出身で、ＩＲジャパン顧問への就任予定が公表されていたが、３日付で「一身上の都合」を理由に同社と同ＨＤの役職を辞任した。 　ＩＲジャパンは企業の合併・買収（Ｍ＆Ａ）や買収防衛策、「物言う株主」と呼ばれるアクティビスト対応などを手掛けている。（了）【時事通信社】