「最悪の想定が不十分」＝盛り土対応、法的瑕疵否定―熱海土石流の第三者委報告受け・静岡県

　静岡県熱海市の土石流災害をめぐり、県の第三者委員会が県と市の盛り土への行政対応は失敗だったとする最終報告書をまとめたことを受け、県は１７日、盛り土の大規模崩落など「最悪の事態の想定が不十分だった」との見解を発表した。今後、行政指導に当たり助言や支援をする組織を新設するほか、職員の危機管理意識の徹底を図る。 　難波喬司副知事は記者会見で「行政対応の不十分さを深く反省し、お亡くなりになった方々、被害を受けた皆さまにおわび申し上げる」と述べた。一方で「法的な瑕疵（かし）、不作為はなかった」とし、違法性はなかったとの見方を示した。　 　盛り土をめぐっては、熱海市が２００９年と１１年、県に相談した上で、造成を届け出た神奈川県小田原市の不動産管理会社に安全対策を強制させる「措置命令」を出すことを検討。しかし、同社が防災工事に着手したことから見送っていた。 　見解の中で、県は措置命令の見送りについて、熱海市に再考を促しておらず、「現場の危険性を十分に認識していなかった」と指摘。「継続して関心を持ち、後任にも引き継ぐべき問題だった」と言及した。 　また、県の担当者が不適切な盛り土造成を現地で確認していたことを踏まえ、「より高い危機感を持って、もっと積極的に行動するべきだった」と総括した。（了）【時事通信社】