「林鄭氏より悪い」「効率向上」＝李氏当選に香港市民

　【香港時事】８日の香港行政長官選挙で中国の後押しを受けた李家超氏が当選したことについて、民主派を支持する香港市民からは「（現職の）林鄭月娥時代より状況は悪くなる」と懸念の声が上がった。一方、「強いトップ誕生で政府の効率性が増す」との意見も出ている。 　２０１９年の反政府デモに参加した女性（３２）は、李氏が国家への反逆行為を処罰する「国家安全条例」制定を公約に掲げている点を不安視。「既に香港は白色テロ（体制側による政治的弾圧）の渦中にあるが、さらにひどい状態になる」と強調した。 　会社員男性（２４）も「香港の民主主義と社会的な自由はさらに制限されるだろう。政策に反対する声がなくなれば、民生面でも進歩は望めない」と前途を悲観した。 　政府支持派の自営業男性（５４）は「統制力が増して部下が従順になり、政府運営は改善する。『トラブルメーカー』がいなくなり、１４年の雨傘運動や１９年のデモのような混乱もなくなる」と李氏の指導力を期待。男性の妻（４７）は「主導権は中央政府にあるので、誰が長官でも大差はない。政策決定にかかる時間は短縮されると思うが、ミスも起こりやすくなるのではないか」と話した。 　政府の「効率性」への言及は、民主派寄りの市民からも出た。新型コロナウイルス対策などで後手に回り続けた林鄭政権へのいら立ちが背景にあるようだ。　【時事通信社】 〔写真説明〕香港の林鄭月娥行政長官（左）と李家超氏＝２０２０年７月、香港（ＡＦＰ時事）