「二度と事故起こさないで」＝現場で遺族ら冥福祈る―福知山線脱線事故・兵庫

　ＪＲ福知山線脱線事故から１７年となった２５日、ＪＲ西日本主催の追悼慰霊式が３年ぶりに開催され、事故現場に整備された慰霊施設「祈りの杜（もり）」では遺族や負傷者らが静かに手を合わせた。「二度と事故を起こさないで」「事故が日常になりつつある」とそれぞれの思いを口にした。 　娘の中村道子さん＝当時（４０）＝を亡くした藤崎光子さん（８２）＝大阪市城東区＝は、ＪＲ西日本が依然として安全意識に欠けていると不信感を示し、「二度と大きな事故を起こさないでほしいと思うが、変わっていない。私のような遺族をつくってほしくない」と語気を強めた。 　事故車両の保存については「一般の人が見える形にしてほしい」と公開での展示を求めた。 　当時２両目に乗車し、骨折や全身打撲で重傷を負った小椋聡さん（５２）＝兵庫県多可町＝は、事故以後、妻が体調を崩して今も通院していることを挙げ、「忘れたわけではないが、事故が日常の一部になっている」と今の生活を説明した。 　全身打撲で約１カ月半入院した女性（５５）＝兵庫県川西市＝は、３年ぶりの慰霊式開催に「鉄道の安全を考える日であってほしい。そう思える式だった」と話した。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕福知山線脱線事故で娘を亡くし、現場付近を訪れた藤崎光子さん＝２５日午前、兵庫県尼崎市 〔写真説明〕脱線事故発生時刻に現場周辺で黙とうする人たち＝２５日午前９時１８分、兵庫県尼崎市