裁判官が現場検証＝日野町事件、再審請求審で初―大阪高裁

　滋賀県日野町で１９８４年、女性が殺害され金庫が奪われた「日野町事件」で、強盗殺人罪で服役中に死亡した後、大津地裁が再審開始を決定した阪原弘さん＝当時（７５）＝の第２次再審請求の即時抗告審で、大阪高裁の裁判官は２５日までに、殺害現場とされた酒店などを現場検証した。阪原さんの弁護団が明らかにした。同事件の再審請求審での現場検証は初めて。 　弁護団によると、高裁が職権で現場検証を決め、１８日に実施した。石川恭司裁判長らが、自白で殺害現場とされた酒店や遺体の発見現場、金庫が捨てられていた山中を見て回った。 　２５日に開かれた三者協議では、弁護側と検察側双方が主張立証をすべて終えたと確認した。再審可否の決定が出される時期は未定という。 　２０１８年の大津地裁決定は、金庫や遺体の発見現場などに関する自白が客観証拠と矛盾するとして、再審開始を認めた。阪原さんの長男で申立人の弘次さん（６０）は記者会見し、「犯行は不可能で、自白のつじつまが合わないと分かってもらえたと思う」と語った。　（了）【時事通信社】