ロシア、銀行に長蛇の列＝制裁で預金引き出し殺到―ウクライナ侵攻

　【モスクワ、ロンドン時事】ロシアに対する欧米の経済制裁が強まり、通貨ルーブルが暴落する中、ロシア各地で信用不安から預金を引き出そうとする人々が銀行や現金自動預払機（ＡＴＭ）に殺到し、長蛇の列をつくっている。 　モスクワ中心部にある同国大手ＶＴＢ銀行の支店で順番待ちをしていたアレクサンドル・ズィエフさん（４０）はＡＦＰ通信に「この国がどうなるか分からないから、自分の身は自分で守らないと」と語った。別の支店では現金を引き出せなかったという。 　ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は２８日の声明で「現金に対する強い需要のため、銀行部門では現在、構造的な流動性不足に陥っている」と認めた。信用不安から大規模な「取り付け騒ぎ」が頻発する事態も警戒し、銀行に対する事実上無制限の資金供給で沈静化を図っている。 　預金引き出しに人々が殺到する背景には、欧米が世界の銀行決済取引網「国際銀行間通信協会（ＳＷＩＦＴ）」からロシアの一部銀行を排除することなどを表明したことがある。さらにルーブルの暴落でインフレの加速が予想される中、銀行に預金しておくメリットも乏しくなった。 　ルーブルは２８日の外国為替市場で急落し、史上最安値を更新した。ロシア中銀は大幅利上げに踏み切ったが、為替介入の原資となる外貨準備を欧米に凍結されるなど、苦しい通貨防衛が続く。 　プーチン大統領に批判的なカシヤノフ元首相はツイッターで「ハイパーインフレと経済の破滅が近づいている」とさらなる混乱を警告。英政府は「ロシアに滞在する外国人はＡＴＭや銀行のサービス利用が困難になっているとの報告もある」と注意を呼び掛けている。　【時事通信社】 〔写真説明〕現金自動預払機（ＡＴＭ）前にできた長蛇の列＝２７日、ロシア・サンクトペテルブルク（ロイター時事）