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判決要旨=強制不妊訴訟


 強制不妊訴訟で国に賠償を命じた大阪高裁の判決要旨は次の通り。  【旧優生保護法の違憲性】  特定の障害、疾患を有する者を一律に「不良」であると断定するものであり、それ自体非人道的かつ差別的であって、個人の尊重という憲法の基本理念に照らし是認できないものと言わざるを得ない。各規定は立法目的の合理性を欠いている上、手段の合理性をも欠いており、特定の障害者らに優生手術を受けることを強制するもので、子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由および意思に反して身体への侵襲を受けない自由を明らかに侵害するとともに、障害者らに合理的な根拠のない差別的取り扱いをするものであるから、公共の福祉による制約として正当化できるものではなく、明らかに憲法に反して違憲である。  【立法行為の違法性】  憲法の理念、規定に照らして明らかに違憲である以上、立法当時の時代状況を踏まえてもなお、その立法を行った国会議員には少なくとも過失があるといえる。  【救済法立法不作為の違法性】  厚生労働相が優生手術被害への対応に言及した2004年3月当時、金銭的な補償などを盛り込んだ立法措置を取ることが必要不可欠であり、それが明白であったということはできず、同立法措置を怠ったことが違法の評価を受けるものではない。歴代の厚労相および首相による救済措置の不作為について違法性を認めることはできない。  【損害について】  本人の同意のないまま、優生手術を受けさせられ、身体への侵襲を受けた上、生殖機能を不可逆的に喪失したことで、幸福追求上重要な意思決定の自由を侵害され、子をもうけることによって生命をつなぐという人としての根源的な願いを絶たれたものであり、違法な立法行為による権利侵害を受けたといえる。  優生手術を受けさせられた者は一方的に「不良」との認定を受けたに等しいと言わざるを得ない。このような非人道的かつ差別的な烙印(らくいん)ともいうべき状態は個人の尊厳を著しく損ねるもので、違法な立法行為による権利侵害の一環をなすものであって、そのような権利侵害は優生保護法の一部を改正する法律の施行日前日の1996年9月25日まで継続したものといえる。  【除斥期間適用の可否】  除斥期間の起算点について、具体的な権利侵害の内容と継続性に照らすと、本件の「不法行為の時」はいずれも違法な侵害の終期である96年9月25日といえる。以上によれば、提訴時点では、起算点から20年が経過していたことになる。  【除斥期間適用の制限】  長期にわたり本件訴訟を提起できなかったのは、自己の受けた不妊手術が旧優生保護法に基づくものであることを知らされず、2018年まで、国家賠償を求める手段があることを認識していなかったためであるが、対象となった障害者に対する社会的な差別・偏見やこれを危惧する家族の意識・心理の下、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあったことによるものといえる。  憲法は個人の尊重を基本理念として、特定の障害ないし疾患を有する者も人は平等に取り扱われることを明らかにしているものであり、国はその趣旨を踏まえた施策を推進していくべき地位にあった。ところが、旧法の規定は、優生思想を正面から目的に掲げ、特定の障害者らを一方的に「不良」と扱った上、生殖機能を不可逆的に喪失させる優生手術を本人の同意がなくても法的に許容し、かつ、これを推進しようという非人道的かつ差別的な内容の法律であり、その人権侵害の程度は強いと言わざるを得ない。そして、国家のこのような立法およびこれに基づく施策が、その規定の法的効果をも超えた社会的・心理的影響を与えたことは、例えば「劣悪な遺伝を除去し、健全な社会を築くために優生保護法があり」などと肯定的に記述した高校教科書(70年ごろ)をはじめとする各種資料などが歴史の記録・記憶として残されているところであって、旧法の存在と国の施策がかねてあった差別・偏見を正当化・固定化した上、これを相当に助長してきたことを否定することはできない。そうすると、優生手術に係る国家賠償請求訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあったのは、違法な立法行為によって制定された旧法の本件各規定の存在、これに基づく国の施策と社会的な差別・偏見が相まったことに起因するものというべきである。  これらに照らすと、除斥期間の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反するというべきであり、時効停止の規定の法意に照らし、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境が解消されてから6カ月を経過するまでの間、除斥期間の適用が制限されるものと解するのが相当である。  被害者らは長らくそのようなアクセスが著しく困難な環境にあったが、18年5月21日に仙台訴訟の提起を受けて法律相談が実施されているというニュースを姉から知らされたり、兵庫県で提訴された同年9月28日から間もない時期にヘルパーから教えてもらったりすることで、そのような状況が解消されてから6カ月以内に本件訴訟を提起した。そうすると、被害者らの本訴請求権については、時効停止の規定の法意に照らし、除斥期間の適用は制限され、その効果は生じない。(了)【時事通信社】
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