starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

風評被害なお課題=蔡政権、解禁後も緊張続く―台湾


 【台北時事】台湾の蔡英文総統が、福島など5県産食品の輸入再開を決断した。原因となった東京電力福島第1原発事故から約11年。解禁反対を主導してきた最大野党・国民党への支持離れが追い風になったものの、安全性に対する消費者の懸念が解消したわけではない。風評の払拭(ふっしょく)はなお喫緊の課題だ。  「東日本大震災10年に当たる昨年までの解禁実現を目指したが、すっかり台湾の内政問題になってしまった」。日本の外交筋は、台湾側に科学的データで安全性を示してもなかなか前進が見られなかった苦難を振り返った。  蔡政権は発足した2016年、福島を除く4県産の輸入再開を検討すると公表したが、国民党が激しい反対キャンペーンを展開。放射能汚染のリスクがあるとして5県産食品を「核食」と名付け、消費者の抵抗感を増大させた。18年には禁輸継続の是非を問う住民投票に発展し、統一地方選との同時実施でいずれも与党側が大惨敗を喫した。  蔡総統の食品問題への慎重姿勢は「あの悪夢が骨身に染みているからだ」(与党・民進党関係者)とされる。実際、住民投票の効力が20年に切れて以降も、行政命令でできるはずの解禁に蔡氏が踏み切る様子はなく、日本側には失望感が広がっていた。  事態が大きく動いたのは、昨年12月の住民投票がきっかけだ。日本産と同じ構図で、国民党が肥育促進剤を使用した米国産などの豚肉禁輸を訴えていたが、結果は大方の予想を裏切り否決された。続く今年1月の立法委員(国会議員)補選でも敗れた国民党への支持離れは明白で、政権側が日本産解禁の時宜を得た形だ。  ただ、定着した「核食」イメージの払拭は容易ではない。政府・与党側が、輸入する食品はすべて安全基準を満たすため「核食」は存在しないと訴える一方、野党はさらなる検査体制の拡充を求めて反対姿勢を崩さない。主要メディアも、差別的な「核食」表現を改めるべきだという主張と、「改称は世論操作だ」とする意見に論調が二分している。  輸入再開後、万が一にも基準値超えや産地偽装などの問題が発生すれば、食の安全に敏感な世論が再び禁輸に傾く可能性は十分にある。野党にとっては政権与党に対抗する上で最も求心力を得やすいテーマであり、11月の統一地方選を前に蔡政権の緊張は続く。 【時事通信社】 〔写真説明〕住民投票で肥育促進剤を使用した米国産などの豚肉禁輸案が否決されたことを受け、台湾総統府で演説する蔡英文総統(中央)=2021年12月、台北(総統府提供・時事) 〔写真説明〕食品の安全性を示すボードを掲げるスーパーの青果売り場=1月3日、台北
    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.