解放された樋口＝３回転半は個人戦で〔五輪・フィギュア〕

　ミスなく女子ＳＰを終えても、樋口は表情を大きく崩さなかった。ようやくマスク越しに笑みを広げたのは、上々の７４．７３点が発表されたとき。念願の五輪で初めての演技。「のまれそうになった」という緊張から、ようやく解放された。 　いまひとつ状態が上がっていなかったこともあり、持ち味のトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）は跳ばなかった。それでも７０点台半ばが出たのは、大技以外でも国際ジャッジの評価を高めてきた証し。「一番大きい」と振り返ったのは、後半に３回転フリップをきっちり決めたことだ。 　右足のトー（つま先）を突いて左足の内側エッジで踏み切るフリップは、踏み切り違反や警告を受けることがあり、課題の一つだった。「考え過ぎると他の部分で崩れてしまう可能性がある」と感じながらも、繊細に突き詰めてきた。この日は出来栄え点（ＧＯＥ）で４点を付けるジャッジもおり、修正を実らせた。 　２位でつなぎ、団体での役割は果たした。１５日に始まる個人戦では３回転半を跳ぶ方向で調整していく。「自信を持って、（２回転半から）１回転増やすだけと考えて頑張りたい」。言葉に力がこもった。（時事） 【時事通信社】 〔写真説明〕フィギュアスケート団体、女子ＳＰで演技する樋口新葉＝６日、北京 〔写真説明〕フィギュアスケート団体、女子ＳＰで演技する樋口新葉＝６日、北京