高木美の大きな壁＝五輪メダル１１個のブスト―スピードスケート・海外のライバル

　スピードスケート大国オランダの象徴がイレイン・ブスト（３５）だ。五輪の女子１５００メートルは２００６年トリノから４大会連続で表彰台に上がり、１０年バンクーバー、１８年平昌では金メダル。北京でも、同種目で金を狙う高木美帆（日体大職）の前に立ちはだかる最も大きな壁となる。 　ブストは平昌五輪で、銀の高木美を０秒２０上回った。直前のワールドカップ（Ｗ杯）４戦で全て優勝した日本のエースを破っての頂点。勝負強さが際立った。 　高木美は１９年３月に世界記録保持者となったが、平昌の苦い思いは今も頭から離れないのだろう。今季Ｗ杯で開幕３連勝した後、「前回もＷ杯だけは勝てていた。（五輪との）比較にはならない」と慎重だった。ブストの存在を意識したのは間違いない。 　ブストは以前のような圧倒的な強さを示せていない。昨年末の五輪代表選考会の１５００メートルは２位。かつて五輪で金を取った３０００メートルでは落選した。オランダ女子代表９人の中では最年長だ。年齢との闘いも強いられるはずだが、地元メディアに「４年前よりも速くなったと思う」と強気に語った。 　五輪のメダルは通算１１個手にした。北京では１０００メートル、団体追い抜きを加えた３種目に臨む。「私のキャリアにとって素晴らしい栄冠を目指す」と闘志をかき立てている。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕スピードスケートの欧州選手権女子１５００メートルで力走するイレイン・ブスト＝８日、オランダ・ヘーレンフェイン（ＡＦＰ時事）