水島新司さん、プロ野球界に大きな影響＝和田、松坂ら漫画に登場

　水島新司さんの野球漫画は、プロ野球の世界と連動して描かれて人気を博した。「あぶさん」の題材となったのは南海（現ソフトバンク）。酒豪の強打者、景浦安武がホークス一筋で活躍する物語だった。 　その景浦が「引退」した２００９年には、実際に当時の本拠地ヤフードームで、秋山幸二監督が水島さんに花束を贈るセレモニーが行われた。訃報に接した王貞治球団会長は「ホークスと縁の深い人だった。大変残念」と巨匠の死を悼んだ。 　実在の選手にも大きな影響を与え、作品にも登場させた。水島さんが活動引退を表明した２０年１２月に、「あぶさん」に登場したソフトバンクの和田毅投手は「フォームの特徴を捉えて描いてもらって、うれしかった。球場でも気さくに話をさせてもらった」と思いを語った。「情熱を失わずに書かれていたのがすごい。またどこかでお会いしたい」と話していたが、かなわなかった。 　昨季限りで現役を引退した松坂大輔さんは「ドカベン」に描かれた。自身のツイッターで「学生時代から読んでいた漫画に自分が初めて出たときの喜びは今でも忘れません」と振り返り、「また読み返したい。水島先生、ありがとうございました！」と感謝の気持ちをつづった。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕人気野球漫画「あぶさん」の主人公・景浦安武（かげうら・やすたけ）の引退セレモニーであいさつする漫画家の水島新司さん＝２００９年１０月、福岡・ヤフードーム