殻破った宇良＝執念実り、大関撃破―大相撲初場所

　宇良の思い切った立ち合いに館内はどよめいた。右に動いて貴景勝に背中を向けさせると、一気に距離を詰めて押し倒し。「精いっぱいだった」。取り直しの一番を戦い切り、温かい拍手を浴びた。 　最初の一番は貴景勝に軍配が上がったが、内容は宇良が優勢。前まわしを取って食い下がると、たまらず大関が引く。物言いの末、貴景勝の足が返るのと、宇良の体が土俵につくのが同時との判定。「もう一丁」を執念でもぎ取った。 　２０１７年秋場所の貴景勝戦で右膝のけがが悪化し、６場所連続で休場した。それ以来の顔合わせ。返り入幕した昨年は、幕内上位との対戦で「地力が足りない。壁を感じた」だけに、自己最高位の東前頭２枚目で手にしたこの白星で、一つ殻を破ったと言っていいだろう。 　２日目に頭から土俵下に落下した影響を感じさせず、序二段から復帰後、上位陣を初めて破った。取組について問われても、「ちょっと分からない。覚えていない」と繰り返したが、土俵で小さくうなずいた表情に確かな手応えが見て取れた。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕貴景勝（左）は宇良に押し倒しで敗れる＝１１日、東京・両国国技館