大津、堅守発揮できず＝「公立の雄」潔く散る―高校サッカー

　完敗だった。大津は持ち前の堅守で失点を抑え、勝機を探るプランで挑んだが、青森山田の圧力は予想以上だった。前半３７分にＣＫから先制を許し、同４１分に痛恨の２失点目。後半は細かいパスワークで打開を図ったものの、９０分間でシュートは０本。球際の競り合いで圧倒された。 　予期せぬ形でたどり着いた舞台。準決勝で対戦予定だった関東一（東京Ｂ）に新型コロナウイルス陽性者が出た影響で不戦勝に。森田主将は「悔しかったと思う。自分たちがその分も戦うと示したかった」。試合前の写真撮影で掲げたのは関東一のタオル。最後まで走り抜き、強豪にひるまない姿勢は見せた。 　県外でのスカウト活動は行わず、登録３０人中２６人が九州出身。選手時代、帝京（東京）で高校日本一を経験した平岡総監督は「広告を出さずに行列のできるラーメン屋を目指している」。勝ち上がったことで遠征費不足が懸念され、保護者会がＳＮＳなどを通じて２日足らずで約１０００万円の寄付を集めた。熊本県勢初の快挙は幻となったが、「公立の雄」の散り際は潔かった。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕青森山田に敗れ、スタンドにあいさつする大津の選手＝１０日、東京・国立競技場