直前に「卒業」、仲間犠牲に＝復職男性「生かされた」―大阪ビル放火

　大阪市北区のビル放火事件で、現場となった「西梅田こころとからだのクリニック」は休職などした人の復職支援に力を入れ、特別なプログラムも実施していた。事件の４日前にプログラムを「卒業」し、前日に職場復帰を果たした男性会社員（３４）は「私は生かされた。犠牲になった仲間の分まで一生懸命生きないといけない」と決意を語った。 　男性は心身の不調で、３年前からクリニックに通院。半年前から休職しており、今年１０月から職場復帰に向けた「リワークプログラム」に参加した。十数人のグループワークなどが週４日あり、今月１３日に「卒業」。他の参加者から「おめでとう」と送り出されたという。 　事件のあった１７日は、午前１０時から同プログラムが予定されており、引き続き参加していた仲間が多数巻き込まれた。互いに連絡先も知らなかったが、冗談を言い合い、たわいない会話を交わすのが楽しかった。「長い人は１年くらい通っており、学校のような所だった」と振り返る。 　死亡した院長の西沢弘太郎さん（４９）とは、「復帰しても頑張り過ぎずに、頑張ってください」と優しく声を掛けられたのが最後だった。男性は２０日、現場のビルを訪れ、静かに花を手向けた。「私はたまたま復職が決まり、命を救われた。どうしてこんなことが起きるのか。言葉にならない」と悔やんだ。（了）【時事通信社】