starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

インドの野生ゾウ、訓練で他の野生ゾウの襲撃阻止に協力


【テッパカドゥAFP=時事】インド南部で21人の命を奪い、地元住民をおびえさせていた野生のゾウが捕獲されて訓練を受け、村を襲う他のゾウを撃退するまでになっている。地域では、森林伐採によって飢えたゾウが村を襲撃する例が相次いでいる。(写真はインド・タミルナド州ウーティから45キロのミュードゥーマライ・トラ保護区で草をはむ野生のゾウ) 58歳になる雄のゾウ「ムールティー」は、ケララ州で11人を踏み殺した。当局は射殺命令を出したが、ムールティーは州境を越え、隣のタミルナド州に逃げ込み、さらに10人の命を奪った。 だが、タミルナド州当局はゾウに危害を加えることを禁止しているため、ムールティーは1998年に同州テッパカドゥにあるゾウの飼育・訓練施設「エレファント・キャンプ」に入れられた。 ムールティーを訓練しているキルマランさん(55)は、「ムールティーを訓練し始めてかなりたちますが、純真な子どもみたいで、誰かを痛めつけるようなことはしません」と語った。 子どもが近づいて一緒に遊んだり抱き付いたりしても、絶対に傷つけることはないという。 テッパカドゥにある施設は1927年に設立され、エレファント・キャンプとしては国内最大だ。 ここでゾウは、人間の力仕事を手伝うための訓練を受ける。重さ150キロくらいまでの荷物を運べるゾウは貴重な労働力だ。 しかし、周辺の村落にとって、キャンプで飼育されているゾウの最も重要な役割は、たびたび村を襲うようになった野生のゾウを撃退することだ。野生のゾウは食べ物を求めて集落に入り込み、住民を不安に陥れる。 テッパカドゥ・キャンプ周辺に住む女性は、「野生のゾウが村に入って来ると、子どもたちは危険にさらされます」と話した。 テッパカドゥ・キャンプのゾウは、マフート(ゾウ使い)と力を合わせながら、集落にやって来る野生のゾウに立ち向かって追い払う訓練を受ける。■ゾウが襲うのは腹をすかせているから 世界自然保護基金(WWF)によると、インドには野生のゾウが約2万5000頭生息しており、アジア全体の生息数の60%前後を占めている。 キルマランさんは、「ゾウが人間や家を襲う理由はただ一つ。生息地が失われてきたためです」と指摘する。 「ゾウが生息していた森林はどこも、今では町や村になっています。ゾウは腹をすかせているから襲ってくるのです」 インド政府の統計によると、2019年までの5年間でゾウの襲撃による死者は2300人以上。一方、同時期に死んだゾウは500頭を超えている。このうちの333頭は感電死で、約100頭は密猟や毒殺によるものだった。 インド自然保護財団のアナンダ・クマール氏は、ゾウが人間を踏み殺したいずれのケースでも、ゾウを追い払おうと暴力的になった人間との接触が原因となっていた可能性があると説明する。 繰り返し銃撃を受け続けた個体では、死んだ後に100発近い銃弾が獣医師によって取り出された例もあった。クマール氏はその様子を見ていたと話す。 人間とゾウの衝突をなくすには、ゾウの生息地を保護・拡大するとともに、点在している森をつなげて、ゾウが歩き回れる広大なスペースを確保することが肝要だと専門家は指摘する。 開発計画を立てる際は「ゾウをはじめとする動物たち、そして、その森林に依存している人々」への影響を考慮する必要があるとクマール氏は語った。【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/12/09-13:29)
    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.