オーラルフレイルとは、口の機能が衰えること。例えば、よく食べこぼすようになった、固いものが噛めなくなった、たまにむせる、滑舌が悪くなった…など。
これらは「お口の働きの軽微な衰え」とされ、早期の重要な老化サインとされています。
そしてお口の機能が衰えるステージをきっかけに、脳や身体機能をはじめとした全体の衰えにつながっていく、と言われています。
現在、80歳以上で3人に1人が、身体機能が衰えたり要介護が必要だったりする「フレイル状態」だそう。
フレイルの入り口「オーラルフレイル」を予防していくことが、実は「健康でいる時間をより伸ばす」という点で最近重要視されてきています。
飲み込む・かみ砕く・呼吸する・歌う・味わう・話す・笑う…などなど。消化器や呼吸器だけでなく感覚器としての働きや、コミュニケーションをとるため、表情を作るのに重要な役割を果たしています。
ちなみに75歳以上の日本人の死因1位は肺炎とされていますが、そのなかでも、食べ物や唾液が気道に入ることをきっかけに起こる誤嚥性(ごえんせい)の肺炎は非常に多いとされています。
お口のエイジングケアを意識することで、健康を保つことにもつながるのです。
鶴見大学歯学部前教授・ドライマウス研究会代表 斎藤一郎先生によると、オーラルフレイルには、わずかな自覚のサインがあるそう。
<オーラルフレイルセルフチェックリスト>
・唇が薄くなった
・フェイスラインにたるみが出てきた
・左右の鼻から口角にかけてのしわが出てきた
・あごにたるみやしわが出てきた
・二重あごになってきた
・口角が下がってきた
・首のしわや皮膚のハリがなくなってきた
これらは、口元のしわ、たるみ、ゆるみのサインで、お口の機能の「筋力の低下」「ドライマウス」などが起因しているそうです。
お口が乾燥する理由の一つとして、加齢とともに酸化ストレス(活性酸素の量に対して抗酸化力が少ない状態)が蓄積することが分かっており、酸化ストレスが高いと唾液分泌量が少ないことが報告されているそう。
また唾液腺は交感神経と副交感神経に支配されており、ストレスが高いと交感神経が優位になり、唾液分泌が抑制されてしまうとのこと。
気になったら積極的にオーラルフレイル対策をとってゆくのが良いそうです。
これらを意識し、口元のエイジングケアに勤めてみてはいかがでしょうか。
■噛み応えのあるものを食べる
顎の筋肉を使い、よく噛んで唾液を積極的に出すことで「筋力の低下」と「ドライマウス」をケアします。
唾液量をより増やすのに飴やガムも良いそうです。
■歌を歌う
お口周りの筋トレはもちろん、歌うことで唾液分泌量が増え、嚥下機能や咬合力もアップ。
また、ストレス解消にもつながり免疫力も強化されるそう。
唾液腺は交感神経と副交感神経に支配されており、ストレスが高いと交感神経が優位になり、唾液分泌が抑制されてしまうとのこと。
歌の上手い下手は関係ないそうなので、カラオケでもお風呂でもお好きなタイミングで歌ってみましょう。
■会話を活発に行う
特に、近年はコロナ禍でマスクをしていると口角が下がりやすく、お口まわりの筋力も低下しますので、意識して誰かと会話をしてお口の筋力をあげ、感覚をキープしておきましょう。
■「還元型コエンザイムQ10」をとる
体内の還元型コエンザイムQ10は20歳を境に減少してしまいます。
還元型コエンザイムQ10は、抗酸化作用によって活性酸素から細胞を守りながら、細胞が働くために必要なエネルギーをつくるミトコンドリアのはたらきを促進し、唾液分泌を助けます。食事で必要量をとることは難しいので、サプリメントがおすすめです。
先日、政府が6月上旬にまとめる「骨太の方針」に「国民皆歯科検診(こくみんかいしかけんしん)」が明記されていることが分かりました。
つまり、今後は国民全員が歯科検診を受けて、歯の健康を意識していくというものです。
今後、より歯医者さんが身近になっていくと思われますので、積極的にお口の健康のキープを目指してみてはいかがでしょうか。
【参考】
※日本ヘルスケア協会 生き活きライフ部会
https://jahi.jp/