一度植えれば長い間楽しめる多年草や宿根草。
その中でも今回は、ナチュラルガーデンやシックな雰囲気の庭によく似合う、ちょっと素敵な多年草・宿根草を集めてみました。
丈夫でローメンテナンスな、庭づくりを始めたばかりの人にもおすすめしたい種類をピックアップしています。毎年花を咲かせてくれて、庭づくりも楽しくなります。ぜひ取り入れてみてくださいね。
毎年咲く多年草と宿根草
多年草と宿根草、違いは?
多年草とは、一年を通して花や葉を鑑賞できる草花のこと。そして宿根草とは、冬に地上部が枯れても根が生きていて、春になるとまた芽吹く草花のことです。また、地上部が枯れて休眠できる分、宿根草のほうが花がメインの植物が多い傾向があります。
どちらもまとめて多年草とされることもあります。
庭のキーポイントとなるアイテム
毎年咲く多年草や宿根草は、 その庭の配色を決める鍵 でもあります。
初めて庭づくりする人は、メインカラーを決めて選ぶと庭がごちゃつきにくくなります。まずは多年草・宿根草の花色を1~2色程度にしておいて、開花時期を見ながら一年草などでポイントカラー足したり引いたりしながら庭を作っていくとまとまりが出ます。
ローメンテな多年草・宿根草たち
今回はローメンテで育てられるおすすめの種類をご紹介します。あまり お手入れに時間をかけられない 人や、 丈夫で手がかからないのにかわいい花を咲かせる植物を探している 人におすすめです。
多年草は店頭でも周年見かけますが、宿根草は地上部がなくなる冬はあまり見かけず、開花時期が近い秋や春などに店頭に並ぶことが多いです。ネットショップなどでも購入できますよ。
リクニス
丈夫で育てやすいシルバーリーフ
ふわふわのシルバーリーフと、80~100cmほどの花茎を伸ばしてゆらゆらと風に揺れる姿がとても趣きのある多年草です。2~3cmほどの花を咲かせ、花色は白やピンク、濃ピンクなどが代表的です。
病害虫もつきにくく、肥料もあまり必要としないためほったらかしでも育ちます。株は大きくなりますがまとまりがあって暴れにくく、花壇の後方に入れるとナチュラルな雰囲気に。やせ地や乾燥に強い性質で、ロックガーデンにも向いています。
特徴と育て方
高温多湿には少し弱いため花後の夏に枯れることもありますが、こぼれ種で増えます。秋頃にまたどこからかシルバーリーフが芽を出し、ロゼット状に葉を広げて冬を越します。寒さには強く雪や霜に当たっても常緑のままで、冬はシルバーリーフのグランドカバーのようにも使えます。
花が終わった7~8月頃、花茎を根元から剪定します。こぼれ種を期待する場合は、種が弾けるのを待ってから切り戻しましょう。採取して植えたいところにパラパラとまくだけでもよく発芽します。
オダマキ
自然な趣きのある上品な花
オダマキはキンポウゲ科の宿根草で、上品な花を咲かせます。和にも洋にもよく合いナチュラルガーデンにもぴったりです。
日本原産のミヤマオダマキは青紫の花を咲かせ、セイヨウオダマキは園芸品種が豊富。花色は白やピンクからワインレッド、黒など多種多様で、一重や八重など咲き方もさまざま。ついついたくさん育てたくなります。
また耐陰性も強く、明るい日陰でも育てられます。
特徴と育て方
冬は地上部がなくなり、春になるともこもこと新葉を出す姿も風情があります。
開花時期は5~6月で、花後の果実をほっておくとこぼれ種で増えます。ただし オダマキは交雑しやすい ので、たくさんの品種を育てているときには注意。気が付くと元の花色が姿を消していることもあります。偶然できた花色もかわいいですが、交雑させたくない場合は果実前に花茎を切り取りましょう。そのほかにはほとんど手入れも必要ありません。
クリスマスローズ
奥深い魅力の多年草
濃い深緑の葉っぱにうつむいた花を咲かせ、野趣あふれる魅力のクリスマスローズ。常緑性の多年草で、花の少ない12月頃から開花して冬の庭にとてもよく映えます。
交配種が多く、さまざまな模様や花色があります。育てれば育てるほど深い魅力があって、自分で交配して花色を作り出すガーデナーも少なくありません。それでいて丈夫で育てやすく、意外とほったらかしでも毎年花を咲かせてくれます。鉢植えでも丈夫に育ちます。
特徴と育て方
環境が合って一度根付けば、放置していても10年以上咲くことも。
樹木の下などの明るい半日陰で、風通しの良い場所で育てます。風通しが悪い場所で育てていると一気に病害虫が多くなります。適した環境にいれば、病害虫にも強いです。特に夏は休眠期なので、直射日光などの負担がかからないようにしましょう。
こぼれ種で増えることもあります。花後は花茎を根元から切り取ってやると、暑い時期風通しがよくなります。切り取った花茎はドライフラワーとしても長く楽しめますよ。
ベロニカ
涼やかな花穂が魅力
イングリッシュガーデンに欠かせないベロニカ。世界に200~300種もあり、背の高い品種から匍匐性でグランドカバーにも向く品種までさまざまです。
定番は立性の細長い穂を伸ばすタイプで、ベロニカ・ロンギフォリアを中心とした園芸種です。花の少ない夏が開花期の品種が多く、花穂が風に揺れる姿は涼やかでとっても魅力的!夏から秋にかけて存在感を出してくれる宿根草です。
特徴と育て方
ベロニカはとても丈夫で病害虫もほとんどつかず、暑さや寒さにも強い植物です。縦に伸びて株が暴れにくいので、放任でも美しく育ってくれます。
ロンギフォリア種は大型・中型・小型とあり、庭の大きさに合わせて好みの品種を選びやすいのも、初心者にはぴったり。日本にも、山陰地方に自生するトウテイランという品種もあり、こちらは美しいシルバーリーフが魅力です。
アカンサス
雄大で美しい多年草
ウィリアム・モリスの代表的なモチーフでもあるアカンサス。その雄大な葉の形や草姿は、古代ギリシャにおいても彫刻のモチーフになっています。
草丈・株張りともに150cmほどにもなる大型の宿根草ですが、シックな色の花穂がうるさくなく、古代ギリシャの建築物のような堂々として美しい存在感を出してくれます。スペースが許すなら、ぜひひとつ取り入れてみてほしい植物です。
特徴と育て方
乾燥にも強く強健で、環境が合えばほぼメンテナンスフリーです。日陰にも耐えるので、シェードガーデンにもおすすめです。
寒さにはやや弱く、寒冷地では冬に地上部がなくなる宿根草でもあります。暖地では冬も常緑のままの葉を楽しめますが、暑いと地上部がなくなり、また秋に葉が出てきます。
やや小型の品種や斑入り葉の品種もあります。斑の入り方もダイナミックでおしゃれです。
ローメンテで心地よい庭づくりを
今回紹介したほかにも、アジュガ、三尺バーベナ、ヤグルマギク、アガパンサスや宿根サルビアあたりも、かわいい花を咲かせるのに丈夫でローメンテでおすすめです。
ただ丈夫でローメンテといえども、 庭の環境によっては合う・合わないがあります 。ご近所さんでは大きくなっているのに、うちでは花が咲かない…なんてこともしばしば。ぜひ自分の庭に合う、素敵なローメンテプランツを探してみてくださいね。
しまうま
余暇プランナー
田舎暮らしの30代フリーライター。イングリッシュガーデンやオージーガーデンが好きな2児の母です。花屋と園芸店で勤務経験があり、今はガーデンデザインの勉強中。最近ついにマイガーデンに着手し、ゆる〜くかつ素敵なお庭を作るべく、日々試行錯誤しています。かっこよくて魅力的なネイティブプランツや、のびのび育つのに繊細なフォルムのハーブや花々が好き。リアルな庭作りの情報をお届けしたいと思います。